真白な顔をした妹が作業着姿の男性を目撃

うわ~! マミが危ない!!
私は慌てて携帯電話を取り出して、余計な恐怖感を与えることなく、マミを下に誘導することにしました。

「マミ、今すぐエントランスまで来て」
「え~、なんで?」
「口答えしないで、早くっ!」

私の口調から普通じゃないと察したのでしょう。マミは1分もかからずエントランスにやって来ました。

すぐさま、先ほどのことを話して、2人一緒にベランダを見ましたが、誰もいません。

そこで自室に行き、恐る恐る玄関のドアを開けて、すべての部屋を確認しました。が、変わったところはありません。カーテンを開けてベランダも見ましたが、男性が隠れていることもありませんでした。

「お姉ちゃん、光の加減で人影に見えただけよ」
「……そうかな」

見間違えにしては、あの男性の姿は鮮明でした。私は不安感を抱いたまま布団に潜り込んで眠りにつきました。しかし、ほんの1時間ほどで、
「お姉ちゃん、お姉ちゃん」

マミに体を揺すられて、私は目を覚ましました。
「どうしたの?」
「ベランダに人が……ベランダに人が!」

血の気が失せて真っ白な顔をしたマミが、涙目で同じフレーズを繰り返します。

聞げばマミは、私が寝た後もリビングでテレビを見ていたそうです。そして、トイレに行こうとしたとき、やたらベランダが気になりカーテンを少しだけ開けたところ……。作業着姿の男性が、恨めしそうな表情を浮かべて窓に張り付いていたというのです。

  1. 1
  2. 2
  3. 3