雷雨を警告する「上空の寒気」

ほかに、「降水確率」も、多くの人が勘違いしているもののひとつだ。

「降水確率とは『1ミリ以上の雨』が降る確率であって、雨の強さや降水量、降雨時間の長さではありません。降水確率10%であれ、大雨や集中豪雨が起こることは十分にあります」(同)

そのため、集中豪雨の発生地帯を事前に見極めることも必要だ。

「天気図を見て注意すべきは『線上降水帯』です。これは、線状に積乱雲が次々と発生して雨が降りやすくなる状況で、昨年10月16日、伊豆大島で起きた大雨土砂災害もこれが原因でした。台風26号の影響もあって、1時間の雨量は122・5ミリ、24時間では824ミリという、悪魔のスコールラインを作り出したんです」(前出・気象予報士)

衛星画像を見れば一目瞭然。長い線状の雨雲がかかっていたら要注意。"やまない雨はない"と言えど、次々とやって来る雨雲が集中豪雨となり、予報以上の大災害を招いてしまうのだ。
また、天気予報を聞いていると予報は「晴れ」だが、「上空に寒気が入ってきます」というコメントが流れるときがある。これも危険である。

「上空に寒気が入ってくるということは、標高が高い場所や内陸部にあるゴルフ場などではかなりの確率で雷雨になるんです」(前同)

今月8日、愛知県の私立高校の野球部員が練習試合中に落雷を受けて死亡するという痛ましい事故が起きている。異常気象が多発する日本列島では落雷事故も決して珍しいことではない。

「なので、この予報が出た状況で黒い雲や風が出てきたら、30分以内に雷雨発生の可能性があるので、すぐに避難するべきです」(同)

猛暑日も、夏に忘れてはいけない危険気象だ。熱中症を恐れて気温ばかり気にする人も多いが、「日本気象協会は"熱中症情報"として、『暑さ指数』(WBGT)を設定しています。それは気温、湿度、そして人が浴びる日光量から換算されたもの。つまり、たとえ気温が低くても、日光量が強いがために熱中症になることもあるんです」(同)

"今日は猛暑日じゃないから、熱中症の心配はない"などという独断は愚の骨頂だ。

そんな中、今、最も脅威なのが「スーパー台風」だ。「スーパー台風とはアメリカが定義した台風。そもそも、日本とアメリカでは台風の定義が違うんです。日本では毎秒17・2メートル以上の最大風速を持つ風のことを台風と呼びますが、アメリカでは最大風速毎秒32・7メートル以上、66・4メートルまでの風を台風とし、毎秒66・8メートル以上のものをスーパー台風と位置づけています」(民間気象会社社員)

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