4つの人影の正体……練炭自殺した霊!

ドアの鍵穴から部屋を覗くと、輸になって座る人影が4つ。

けっして見間違いなどではありません。と同時にドアの隙間からは、なにかを焼くような臭いが漏れてきます。

自分が部屋を出た後、数秒で人が入り込むことなど絶対に不可能です。

生きている人では……ない!

それを察した自分は、恐ろしくなってドアの前から離れました。部屋に戻る気になれず、玄関に腰掛けて朝になるのを待ちました。

いつの間にか眠ってしまったようで、
「どうしたの? こんなところで寝ちゃって」

おばあさんに声を掛けられて目を覚ましました。同じアパートに住んでいるとはいえ、いくらなんでも初対面の人に幽霊が出たとは言えません。
「いや、あの……昨晩へンなことがありまして」

と言葉を濁すと、おばあさんはそれだけで察したようです。
「奥の右? 出たの?」
そう言いました。

コクンと額いて、どういうことなのかを尋ねると、おばあさんは奥の部屋を見ながら話してくれました。

話をかいつまむと、5年ほど前、ネットを通じて知り合った4人の男女が、あの部屋で練炭自殺をしたとのこと。その後、何人か入居したけど、自分と同じ経験をして1週間もしないで出て行ったそうです。

スーツだけを持ち出した自分は、その日のうちに部屋を解約。残した荷物は不動産屋に処分するよう頼みました。

1年以上経った今でも、練炭の臭いが鼻から離れません。

『本当に体験した! 恐怖の心霊報告書』¥700(税抜)双葉社

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