市民の安全を守るべき警察の未来像が、危ない方向に向かおうとしている。

「警察庁が作成し、犯罪の傾向や分析のほか、今後の方針などを示す『警察白書』の最新版に衝撃の記述が並んでいたんです。それは近い将来、罪もない人の生活を脅かすものになりかねません」(全国紙社会部記者)

それが、白書内の「変容する捜査環境と警察の取り組み」という特集で、この中で「通信傍受・会話傍受」と「仮装身分調査」について"研究"していることが明記されたのだ。仮装身分調査とは、犯罪組織や暴力団に捜査員が身分を隠して入り込む潜入捜査のこと。

事件解決に大きく貢献しそうだが、問題は多い。2000年に北海道警の警部でありながら、その身分を隠し、暴力団組員から拳銃8丁を購入する「おとり捜査」を経験した稲葉圭昭氏は、その際に、相手組員から拳銃を突き付けられているのだ。

「一般公務員のレベルで、ヤクザや犯罪者と、こうした危ない交渉や綱渡りをするなんて無理ですよ。専門の訓練を受けさせようにも、経験があって、それを教えられる人がいないじゃないですか」(前同)

そして、一般市民に影響を及ぼしかねないのが、会話傍受と通信傍受だ。

会話傍受は、自宅内などに録音装置を設置して会話を捜査に使うこと。一方、現在も一部認められている通信傍受は、裁判所が出す傍受令状があれば、4種類の犯罪に対して電話、メール、FAXのやり取りを入手できる。

「昨年64件行われた通信傍受ですが、年間十数万件行われているイタリアを例に挙げて、運用を拡大したいとしています。そのために、対象犯罪の拡大はもちろん、手続きの簡素化による事実上の"令状なし捜査"もありえます」(前出・社会部記者)

会話傍受においても同じことが言えそうで、「雪崩(なだれ)式に同じ運用方法になると思われます。その結果、私たち市民が電話やメールでやり取りした、賭けゴルフや賭け麻雀がバレて、逮捕されることもありえるんです」(前同)

警察が明らかにした捜査改革案は、本当に安全を導いてくれるのだろうか!?

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