「我々は、『半沢直樹』『あまちゃん』の呪縛から逃れられないままなんです」

まさに青息吐息といった様子でこう語るのは、民放局のディレクター。
「昨年ヒットしたこの2作品は、"自分たちがやりたいこと、面白いこと"を貫いた結果、視聴者の支持を集めたもの。長く、マーケティングや人気俳優に頼っても、視聴率が伸び悩んでいたドラマ界の人間は、"やはり、オリジナリティーを追求せねば"と、決意を新たにしたものでした」(前同)

ところがどっこい。
今年前半の春ドラマの平均視聴率(ビデオリチべ)を見てみると、
「1位の『花咲舞が黙ってない』(日本テレビ系)が16・0%、2位の『ルーズヴェルト・ゲーム』(TBS系)が14・4%ですが、これらは『半沢直樹』と同様、池井戸潤原作の連ドラ。3位は『続・最後から二番目の恋』(フジテレビ系)で12・8%ですが、これも"続"とあるように、好評だったドラマの第2弾です」(テレビ誌記者)

反対に、冒険心で突っ走った作品はどうか。
「"月9"らしからぬ裏社会を描いた『極悪がんぼ』(フジ系)は9・9%、高校野球を題材にした『弱くても勝てます』(日テレ系)は9・8%、ブラック企業の社長が主人公の『ブラック・プレジデント』(フジ系)は7・5%、SMAPの香取慎吾を抜擢した刑事ドラマ『SMOKING GUN』(フジ系)は7・3%と、軒並み完敗です」(前同)
それを受け安定志向は加速するばかりだという。
「この夏は、焼き直しドラマを連発。フジは木村拓哉の『HERO』に、コミック原作でAKIRAの『GTO』。テレ朝は『信長のシェフ2』で、日テレは『金田一少年の事件簿N(neo)』。広告費も減少傾向にあり、確実に数字が取れるものが優先されます」(夕刊紙記者)

スベるにスベれない厳しい現状。
それなのに、対するテレビ東京は野心作を世に放った。
その名も『アラサーちゃん 無修正』(7月25日~)。

「壇蜜が演じる主人公の"アラサーちゃん"と、彼女を取り巻く女性たちが、恋愛とセックスの手の内を明かすバラエティドラマです。壇蜜の初主演の連ドラで、セックスシーンも満載という話もあり、話題沸騰中です」(別のテレビ誌記者)

職業"エッチなお姉さん"の濡れ場がいっぱい!?
なんたることか。

原作は、本誌連載『ヴィーナスちゃん ギリギリモザイク』でもお馴染み、元AV女優の漫画家・峰なゆか先生が描いた人気4コマ『アラサーちゃん』である。
いち早くご覧になったということで、感想を聞いてみた。

「とにかく、エロが多いですね。普通のドラマだと、セックスシーンがあっても、正常位のみ。男性の肩越しに、女性の顔と体がちょっと見えるくらいなんですが、『アラサーちゃん』だと、"乳首と陰毛が見えなければOK"というレベル。バックで突かれるシーンもあって、壇蜜さんもアンアン喘ぐし、ほんとスゴいと思います」

バックで突かれる?
アンアン喘ぐ?
エッチすぎではないか!

見どころはエロだけではない。
峰先生が続ける。
「ドラマの中で、アラサーちゃんが妄想する"文系君"(アラサーちゃんが片思いをする相手)とのセックスシーンは、ただエロいだけじゃなくて、トキメキ感に溢れるもの。"壇蜜さん=エロ"というだけでなく、キュンとさせるのがいいなと思いました」

"恋する女性"という壇蜜の新境地を見せる、本ドラマ。

壇蜜ご本人にも意気込みを聞いた。
「アラサー女同士の攻めぎ合いが見どころ。みんな敵であり仲間でもあるんです。あと注目はオープニングのダンス。あまりにも体が動かなくて、ハァハァしちゃいました♪」

冒頭の民放局ディレクターが言う。
「この『アラサーちゃん』がハネれば(視聴率を取れば)、焼き直しドラマを作ろうという安定志向のトレンドも薄まるはず。どういう結果になるか、業界の人間は私のみならず注視していますよ」

アツいアツい戦いの行く末は、いかに!?

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