自分では気づかない自分の臭いの確認法

「N村さんって最近、へんな臭いしない?」
「そうそう、なんかオヤジ臭いのよね。あれって、加齢臭だよねぇ」

結婚して10年。もうすぐ40代半ばながら、「外見はまだ30代前半に見えるはず」と自負していたN村さんは、ある日、部下のOLたちが社内で噂話をしている場面に遭遇。冒頭の会話を聞いて、打ちのめされてしまった。

「そういえば、妻も最近、ベッドや枕に消臭スプレーをやたらとかけているし、やはり、私は、周囲にわかるほどの強烈な加齢臭を放っているのか……」

こうして深みにハマっていくN村さんだが、体臭は誰にでもあるもの。若い人は若い人特有の、女性は女性特有の体臭を持っている。この体臭の中で、特に中高年の男性、つまり「おじさんの臭い」と言われているのが「加齢臭」で、まさにN村さんの天敵だ。

世間で好かれることのないこの加齢臭の正体とは、いったい何か。『ニオイは消える!』(アース・スター・エンタテイメント)の著書がある、いけした女性クリニック銀座の池下育子院長は、次のように解説する。
「加齢臭は、主に中年以降になって現れる特有の臭いです。この原因はノネナールと言う物質で、皮脂腺から出る脂肪酸が酸化し、雑菌が発酵することで発生します」

これに加え、汗や古くなった頭皮、皮膚の老廃物が分解できなくなって発せられる腐敗臭、さらには、普段たしなむ酒やたばこの臭いも合わさって、その人特有の臭いを形成するという。
「若い人の体臭がムッと立ち上がるような感じなのに対し、中高年の体臭がひなびたような古くさい感じがするのは、年を取ると、新陳代謝が活発ではなくなり、脂の成分が変化するからです」(池下院長=以下同)

俗に「古本の臭い」とも称される、このノネナールが目立ってくるのは40代を超えてから。

つまり、若い男性から「加齢臭」が発せられることは少ないのだが、生活や食事、個人差によっては若いうちから、体の新陳代謝が不活発になって、臭って来る人もいるという。

また、こうした臭いに、糖尿病患者独特の匂いや急激なダイエットを試みたときなどに体内から排出される「ケトン体」の臭いなどが合わさって、一種独特の匂いとなることもある。

ともあれ、加齢臭の正体が皮脂腺から出る脂肪酸なのだ。

ここで怖いのは、自分では自分の臭いに気づきにくいということ。
「人間はどうしても臭いに慣れてしまいますので、気づきにくいのは仕方のないことなんです。ですので、自分の臭いを確かめるには、新しいTシャツを1日着てみてください。その後、そのTシャツの臭いを嗅いでみて、どのような臭いがするかで、わかると思います」

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