異常気象は当たり前の心構え

そうした危険な河川について国土交通省の水管理・国土保全局河川計画課では、「日雨量が100ミリ以上の長雨や1時間50ミリ以上の短時間豪雨が降ると、災害が起きやすいという認識を持っています」

大きな河川流域の住民は、豪雨や台風に見舞われた際、雨量をチェックしておくと身の安全に繋がりそうだ。

「その際に決して油断しないこと。最近は記録的な降雨量が相次ぎ、1時間に100ミリ以上の雨が降っても、"またか……"くらいに思う人がいるかもしれませんが、そうした記録的な豪雨に慣れてしまうことが危険なんです」(渡辺氏)

しかし、浸水被害は河川の氾濫によるものだけではない。今年8月中旬に2500棟以上の家屋が浸水した京都府福知山市の豪雨では、どの河川も氾濫しなかったが、市内が水浸しになってしまったのだ。

これを「内水氾濫」と呼び、道路が舗装されるなどして雨が土に吸収されにくい都市部で、排水用の水路などが溢れて浸水被害を増大させるもの。

一方、河川氾濫による浸水被害は「外水氾濫」という。仙台市の国道45号線沿いの苦竹IC交差点付近も、河川から離れた場所であるにもかかわらず、かつて台風に見舞われた際に水没してしまった過去を持つ。

「住宅街で半地下の駐車場をよく見かけますが、これも危険です。水が駐車場に流れ込む前に土嚢などを積んで、浸水を防いでおくことが大切です」(前同)

これまで紹介してきた箇所は、あくまで象徴的な場所ばかり。国土を山や軟弱地盤で覆われ、縦横に河川が走る日本列島で、絶対に安全な場所は数少ない。

「もはや異常気象は、"異常"ではなく"恒常気象"になったとの心構えで、災害に備える姿勢が求められています」(同)

来るべき"9月災害"に備え、地域の危険箇所を事前に確認いただきたい。

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