菅義偉官房長官と並び、早々に留任が決まった麻生太郎副総理兼財務大臣。安部晋三首相の兄貴分として、政策のみならず、政権運営の相談役まで請け負ってきた御仁だから、続投は当然と見られてきた。

総理番記者が言う。

「3A+Sというのが、"官邸親密カルテット"です。Aは安倍、麻生、甘利(明)で、Sは菅。とりわけ、麻生さんと総理は大の仲良しで、お互いの自宅まで徒歩5分という超のつくご近所さん。麻生さんは、帰る時刻を見計らっては安倍邸に出向き、頻繁に夜遅くまで話し込んでいましたね」

こうも親密なら留任も納得だろうが、これは表面的な話。実のところ、麻生さんは、政権中枢から微妙に距離を置かれているという。

自民党番記者が言う。

「キーマンは菅官房長官です。毎週月曜日の早朝、菅さんは、副長官の世耕弘成、加藤勝信、杉田和博の3人と、株式に詳しい専門家を官房長官執務室に呼んで、前週の株価を分析。どんな政策を公表すれば、株価が上がるかを検討する会を内々に開催しています」

これを不愉快に感じているのが、当の麻生氏。

「麻生セメント(現・株式会社麻生)で社長を経験し、"内閣で経営経験のあるのは俺だけ" "素人が株価の相談をして意味があるのか"と見ているんです」(前同)

3A+Sの共闘関係に、亀裂が生じているわけだ。

加えて、現在、麻生さんが目の敵にしているのが、経済産業省。安倍首相の成長戦略を担う同省庁は、権限も大きく、今や天下を取ったような勢いで、"安倍経産内閣"と称されるほど。

その急先鋒は、ご存じ、甘利明経済再生担当大臣。

「財務省の代理人である麻生さんは、税収を確保するのが第一の仕事です。他方、景気浮揚を狙う甘利さんは、さらなる消費税率引き上げには慎重姿勢。しかも、法人税減税まで決定。これでは税収が減る一方で、財務省は立つ瀬がない」(シンクタンク職員)

まさに、"省益"のぶつかり合い。この秋、来年10月に消費税率を10%に上げるかどうか、決断を迫られている安倍政権。

"麻生VS甘利"の対立構図がより浮き彫りになっているという。

「安倍首相にとって、甘利さんは、成長戦略路線をサポートし、TPPの対米交渉で頑張る従順な部下。そこに、麻生さんが、安倍&甘利コンビにマフィアばりの脅しをかけるのではと、永田町では関心が集まっています。経済政策も、財政政策ひとつでへし折ることなど容易ですから。要は"俺には省の中の省・財務省がついている。総理のクビをすげ替えるなんて簡単だ"と迫る、と」(前同)

第2次安倍政権がスタートして、約600日。私怨や省益で行末が決まる!?

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