自分にしか見えない!? 部屋の前で佇む女の子

それから間もなく、その夫婦と女の子を見ることがなくなりました。と同時に、彼らの怒鳴り声もなりを潜めたのです。

それから1カ月が過ぎた頃でしょうか。友達を連れてうちのアパートへ戻ったときです。

1階の角部屋の前に女の子が佇んでいました。

あの虐待夫婦の子供でした。久しぶりに見たのですが、前よりもなんだか痩せ細り、小さくなったようにも見えます。
とはいえ、どうしてここにいるのか。アパートを引き払ってどこかへいなくなったはずではないのか、と思ったんです。
「あの子、なんでここにいるのかしら?」

できるだけ小さな声で友達に説明しました。
もしあの夫婦が帰ってきていて、聞かれたら困るからです。しかし友達は「どれ、どこ」としか返しません。
「ほら、そこ、そこの角の」と教えるのですが、見つけてくれません。

どうやらその子供は私にしか見えていないようでした。

その場で回れ右して、私は友だちの家に泊めてもらったのです。

あの夫婦と子供がどうなったのかは知りません。

でも、何かあったことは確かでしょう。あまり詳しく考えたくないですが。


『本当に体験した! 恐怖の心霊報告書』¥700(税抜)双葉社

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