現在、脳科学の分野で脳波を解析し、実際になにを考えているのかを解析する研究が進んでいる。先日、頭で考えるだけで手足を使わず飛行機を操縦する実験が成功したが、今度は脳波をインターネットで送信し、別の人物の脳へ電気信号を送って情報を伝達するという試みが成功した。要するにテレパシー。まるでSF映画かアニメ・ゲームの世界が繰り広げられているようだ。

国際研究チームが行なった実験は、まず4名の被験者の頭に脳波記録用のヘッドセット(EEGヘッドセット)を取り付け、「Hola(スペイン語)」や「Ciao(イタリア語)」などの挨拶を思い浮かべた際の脳波を測定。符号化データ(情報を一定の規則に従ってデータに置き換えたもの)を作成し、そのデータをインド南部の都市ティルヴァナンタプラムからフランス北東部に位置するストラスブールへとインターネットを介して送信するというものだった。
フランスでは符号化されたデータを復元(デコード)し、被験者の頭に取り付けた電極から微弱な電流による刺激を与えることで、脳に直接、挨拶の内容が送信される。何人かの被験者は目の中に微弱な光を感じただけだったが、なんと「挨拶の声が聞こえた」と報告した被験者がいたのだ。研究チームではさらにスペインとフランスの2カ所からも同様の実験を行ったが、完了した時点での誤答率は15%という、素晴らしい結果だった!

しかし喜んでばかりはいられない。この分野における研究が進むほど倫理的、社会学的な議論が巻き起こるのは必至だろう。もちろん悪用されればとんでもないことが起こる。人間の脳に直接働きかけるこの種の装置を装着させ、マインドコントロールを謀ることも可能なのだ。今回の実験も慎重に進めることが求められるだろう。

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