外国為替市場では、円売りが一気に加速している。“円売り”が加速するということは、当然のことながら“円安”が進行することを意味する。この結果、先週12日には、一時1ドル=107円39銭にまで円安が進み、6年ぶりとなる円安水準に突入した。

なぜ、円安が急速に進行しているのかというと、ひと言でいってしまえば、日銀が推し進める「異次元の金融緩和」がその最大の原因といえるだろう。改めて説明するまでもなく、金融緩和とは中央銀行、つまり日銀が通貨、円の供給量を増やすということに他ならない。この結果、円の量がドルやユーロと比べて増えたならば、対ドルや対ユーロで円の価値が下がり、円安になるわけだ。

そして、円安になるということは、輸入品の価格が上昇することに直結する。原油、小麦、大豆、米国産牛肉などの価格は、まず間違いなく上昇することになる。

ここ最近、大手牛丼チェーンや「餃子の王将」が相次いで値上げに踏み切っているが、これも一連の円安が大きく影を落としていることは間違いない。

だいたい昼食にかける予算は、600円〜700円といったところが相場だろうか。もっとも、
「そんなにかけられない。せいぜいワンコイン(500円)」
という方も多いだろう。

昼食を提供する外食産業は、これまで、こうした消費者ニーズに積極的に応えようと、値下げ競争を繰り広げてきた。そして、こうした価格帯で食事を提供するために、勢い外国産の食材に多くを頼ることになる、いや頼らざるを得ないのが実情だ。

知人の飲食店経営者に話を聞いてみると、
「例えばチキンカツ定食を提供するとして、すべて国産の材料でまかなうとしたら、1000円近くの値段をつけなければペイしない」
とのこと。

新橋(東京)やミナミ(大阪)でチキンカツ定食を昼食で食べたならば、700円程度といったところか。しかし、この価格は1ドル=85円~90円程度の為替相場を前提にしたもの。円安が進んだことによって、外国産鶏肉の価格は間違いなく上昇する。今後、値上げラッシュが続くことは間違いないだろう。


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