塩崎氏は短気な性格が問題?

一方、物議を醸しているポストもある。その筆頭が農水相だという。

「西川公也農水相は、オーストラリアを訪問して日豪EPAの取りまとめを行うなど、TPP早期妥結に向けた努力が首相の目に留まっての大臣就任でした」(自民党農林族議員)

ただ、この人事にもウラがある。

「バリバリの農林族の西川氏が"努力した結果、TPPは以下の条件で受け入れざるをえませんでした"と言えば、農業団体の反発を最小限に抑えることができるという安倍首相の"深謀遠慮"も、多分に含まれています」(前出・鈴木氏)

かつて、わが国がウルグアイ・ラウンド(世界貿易上の障壁をなくし、貿易の自由化や多角的貿易を促進するために行われた通商交渉)を受け入れた際、補償名目で農業関係者に巨費を配布した。その場しのぎのバラマキ政策の結果、温泉ランド建設など、不要不急の"無駄な支出"につながり、強い批判が出た。

「TPP妥結に際し、同じことが起きないか。農林族の西川氏では、失礼ながらその二の舞にならないかと心配されているんです」(農水省担当記者)

安倍首相の"お友達"塩崎恭久氏の厚労相就任にも疑問の声が上がっている。

「第1次安倍内閣で官房長官を務めた塩崎氏ですが、あまりの安倍お友達の偏重ぶりに党内から批判沸騰。同内閣が短命に終わった大きな要因のひとつとも言われた。当選6回を重ねた今、昔とは違うところを見せてほしいですけどね」(前出・自民党中堅議員)

その塩崎厚労相に心配されているのが"短気な性格"なのだとか。

「仕事に厳しく、ワッと怒るタイプのため、今から省内はピリピリです。第1次安倍内閣時同様、面従腹背でやり過ごそうと早くも口にしている幹部連中もいますよ」(厚労省関係者)

他にも、東日本大震災復興に関係したポストがヤリ玉に上がっている。

「第1次小泉改造内閣で環境大臣政務官を務めたとはいえ、所管する震災復興に何ら実績がない望月義夫氏が環境相に就任。また、故竹下登・元首相の弟というだけで復興相についた(!?)竹下亘氏にも、政策実施能力に不安の色を隠さない議員は多い」(ベテラン政治記者)

前出の浅川氏が言う。

「今改造内閣は、地味だけど実務型堅実内閣といったところです。ただ、その裏には安倍首相再選シフトの影が濃厚です。この改造で石破氏や谷垣氏などライバルを封じ込めたと自負する安倍首相。これで来年9月の総裁選は無投票当選確実と、密かに微笑んでいると思います」

まずは新内閣の船出に注目したい。

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