古くは黒澤明監督の『生きる』から、最近では『最高の人生の見つけ方』。余命を宣告された主人公が、死ぬ前に残りの人生を謳歌する映画は、これまで多くの涙を誘ってきた。それらの名作を彷彿とさせるキャンペーンをマレーシア航空が行なったのだが、そのタイトルが問題となってしまった。その名もズバリ「My Ultimate Bucket List」。訳すと「死ぬ前にやっておきたい究極のリスト」なのだ。
『Bucket List』の語源は「首をくくるためにバケツの上に立ち、ロープを首にかけたあとでバケツを蹴飛ばす/kick the bucket」すなわち「死ぬ」というものだ。航空会社が行なうキャンペーン名としては極めて不謹慎であり、墜落前提で「搭乗する日までにしたいこと」と誤解されても仕方がないだろう。
マレーシア航空といえば、今年3月、乗客239人を乗せたままこつ然と姿を消し、さらに7月にはオランダからマレーシアに向かっていた同17便がウクライナ東部で墜落し、多数の犠牲者を出したあの航空会社である。気になるキャンペーンの内容は、自分が死ぬ前にやりたいこととその理由を書き、優勝者にはエコノミークラスの航空券とタブレットがプレゼントされるもの。流石に「死を連想させる」と苦情が集まり、現在では「やりたいことリスト」とキャンペーン名を変更している。

本日の新着記事を読む