新閣僚を従え再び荒波に漕ぎ出した安倍ニッポン丸。消費増税や外交…山積する難関を乗り切る秘策はこれだった!

内閣改造を無事やり遂げ、順調な船出を飾った安倍内閣に、今、不気味な噂がささやかれている。

「なんと、安倍首相が衆院解散・総選挙を視野に入れて蠢(うごめ)き出したというんです。意を受けた側近の菅義偉官房長官は、"野党の態勢が整わない今こそチャンス"と、ひそかにXデーの検討に入ったといいます」(ベテラン政治記者)

その動きを敏感にキャッチした自民党の中堅議員や若手議員は、いざ決戦に向け地元に日参。態勢固めにも入ったという。

「今秋に予定されるプーチンの来日、10%となる消費税率引き上げの判断と、今後の安倍政権は難問山積。どんなにうまく処理を施しても、支持率低下は免れません。ならばと、内閣改造で支持率がアップしている今、勝負をかけ、さらなる"一強多弱"を目論んでいます」(前同)

確かに支持率は上昇。安倍改造内閣が発足した9月3~4日にかけて行われた読売新聞社の緊急全国世論調査では、64%に。改造前の前回調査(8月1~3日)から、なんと13ポイントも上がったのだ。

「この上昇幅は、同社が世論調査を始めた1978年3月以降の内閣改造直後としては最大。それよりなにより、政権発足後1年8か月を経た今に至っても64%もの高い支持率を維持しているのは、異例そのものです」(全国紙政治部デスク)

こうした勢いに乗じて、首相は"不意打ち解散"を仕掛ける作戦というのだ。

「具体的には、秋の臨時国会冒頭の9月29日(予定)解散説が、まことしやかに言われています」(同)

それにしても、現在の安倍政権は処理ひとつ誤れば政権の命運をも左右しかねない難題が目白押し。

なかでも、12月初旬がリミットとされる"来年10月の消費税率引き上げ"、すなわち、消費税を10%にするか否かの安倍首相のジャッジは、難問中の難問と言えるだろう。

「この4月に消費税を8% に引き上げて以降、中小零細企業を筆頭にかなり苦しい状態が続いています。にもかかわらず、政府が既定方針どおりに消費増税に踏み切れば、巷は怨嗟の声で満ち溢れるでしょう」(地方紙デスク)

かといって、消費増税を見送れば、財政再建を党公約に掲げる自民党内の猛反発は必至。

「筆頭は、財務省とベッタリの麻生太郎副総理兼財務相や、自公民で消費増税に関する3党合意をまとめた谷垣禎一幹事長らです。なかでも、谷垣幹事長にとって増税見送りは、即、政治生命の終わりにつながります。必死の抵抗が予想されています」(谷垣派関係者)

波乱含みの安倍執行部に、さらなる追い討ちをかけているのが、"金看板"アベノミクスの失墜だ。

「先ほど発表された8月の新車販売台数は、前年同月比9・1%減。4月の消費増税後、最大の減少率です。また、アベノミクスの眼目である大都市と地方の格差解消問題も、首相の意に反して差は開く一方。栃木県などは実質賃金が7%以上も下がって、地方は貧しくなるばかりです」(シンクタンク職員)

当初は期待されたアベノミクスに、明らかな異変が見え始めている。そんな日本経済凋落の兆しを、英経済紙フィナンシャル・タイムズは、社説(8月29日付)で《アベノミクスは失敗しつつあるのか》と題し、〈安倍首相は消費税10%への増税を延期すべきだ〉〈(4月の消費増税は)無謀だった〉と断じた。

「景気浮揚のため現状維持か、財政再建のため税率引き上げか……。消費増税に関して言えば、どちらに舵を切っても、プラス効果は小さなもので、マイナス面ばかりがフォーカスされるのはわかり切ったこと。進むも地獄、戻るも地獄です。ただ、この秋に解散・総選挙に打って出て、民意を取りつけられれば、どんな決定であれ反発は少なくなる、という計算があるんです」(自民党番記者)

いやはや、なんとも……。加えて、上の「秋の政局カレンダー」にもあるように、外交でも正念場。

ご存じのように、対中、対韓に象徴される近隣外交が、今もって「待ったなし」の緊迫状態が続いている。

軍事ライター・古是三春氏が指摘する。

「現在の中国共産党は、日本との関係を改善する方向にあります。ここにきて、日中がそれぞれの政府間パイプを使って、11月に北京で開かれるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)での"日中首脳会談"実現に向け、双方が模索中です」

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