今月、特撮ドラマにて俳優の代わりにヒーロースーツを着用し、アクションもこなす男を描いた唐沢寿明主演の映画『イン・ザ・ヒーロー』が公開された。映画の効果もあり、スタントマンの世界に注目が集まるいま、奇しくもこのタイミングで元アクション俳優が逮捕されたというニュースが飛び込んできた。

埼玉県警は8日、窃盗などの疑いで戸田市上戸田の無職の男(32)を逮捕、追送検した。男は蕨、戸田両市内の民家など43カ所に侵入し、現金や金品など総額820万円相当を盗んだとしている。県警によると、容疑者は約7年前に芸能事務所に所属し、アクション俳優として活動。しかし27歳の時に右膝を骨折し、事務所を解雇されたという。今回の犯行動機の1つとしては「俳優養成所の登録料60万円を稼ぎたかった」と供述しているそうだ。

この男、身長が180cmもあり、身体能力も抜群だったことから、壁や電柱などをよじ登って民家の2階から進入する手口で犯行を繰り返していた。そのため捜査員からはスパイダーマンと呼ばれていたという。

そんな彼の生活は、いつか再びアクション俳優の道へ返り咲くためか、昼間は公園でトレーニングに明け暮れる日々。しかし彼はその間にも、留守宅を物色するという不審な行動を繰り返していた。そのため周辺では「高身長の美男子がうろうろしている」と評判になっていたそうだ。容疑者は高身長のイケメンということで、黙っていても目立つ存在だったのだろう。やがて警察の捜査により、公園の足跡と、空き巣被害に遭った住宅に残っていた足跡が一致し、それが逮捕の決め手となる。

過去に、仮面ライダーで悪役を演じていたという容疑者。まさか現実でも悪に染まってしまうとは、当時の彼は夢にも思っていなかったかもしれない。


(文・柴田慕伊)

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