王将が23年ぶりに全体値上げ

「10%なんて、とんでもない!(8%への)増税前は、アベノミクスが順調と報じられていましたから、景気が回復して給料が上がれば、増税のマイナス分を吹き飛ばせるという淡い期待がありましたが、結局、給料は上がらず、物価は上昇した。アベノミクス効果どころか、コンビニでおにぎり一つ買うのでさえ、消費税でため息の毎日ですよ」(40代会社員=製造業)

そんな庶民に、さらなる"追い打ち"が開始された。消費税10%へのアップを待たずに、早くも値上げラッシュが始まろうとして(一部は始まって)いるのだ。

値上げ開始は、この9月からのものが多く、時期にバラつきはあるものの、各商品とも、順次、値上げの予定が示されている。

まずは、高止まりを続けているガソリン価格。

「8%増税前の3月末は、レギュラーガソリン1リットル当たり159円(全国平均小売価格=以下同)でしたが、いまでは169.2円(9月11日時点)と高止まり状態です」(経産省関係者)

アベノミクス"効果"で、円安となり原油輸入価格が上昇したことが主因だが、「円安は今後も続くと見られており、輸入原油価格が下がる見込みは今のところ、ありません」(前同)

とりわけ、自動車が生活の足となっている地方の人たちには深刻。

軽油価格も上昇し、"物流の要"トラック業界もギブアップ寸前。

9月から、企業間トラック輸送運賃の一律20%の値上げに踏み切った。当然、今後は宅配料の値上げも検討されることになる。

また、原油由来のプラスチック製品。たとえば家庭用ラップも、大手クレハでは出荷価格を11月1日から10~20%値上げ。さらに切実なのが、間断なく続く食品の値上げラッシュだ。

「原材料の乳価が4月から上がったことと、乳牛の餌となるトウモロコシの主要産地である北米の天候不順が響き、価格が高止まりしている」(農水省担当記者)

そのため、大半の乳製品が値上げされている。

たとえば、大手の雪印メグミルクでは、ヨーグルトなど乳製品7品目の希望小売価格を5~10円値上げ。9月下旬からは家庭用チーズ9商品の容量も順次減らす(実質値上げ)という。

魚介関連商品も、値上げの波からは逃れられない。

「原油高により出漁する船が減り、漁獲量が減少したのが大きな要因のひとつです。刺身用のイカはスーパーで1杯100円程度で買えたんですが、現在は1杯200円程度となっています」(経済誌記者)

マルハニチロでは、サケやサバ、カニ、ホタテを使った缶詰の価格を10~30%値上げ。

「先日、エビシウマイを買おうとスーパーの棚を覗き込んだら、15個入りが560円~590円に値札が貼り替えてあって……。最近、お野菜も高いでしょ。9月になって、ほとんどの商品が値上げされていると思います」(東京・戸越銀座商店街での40代主婦)

UCC上島珈琲が、家庭用のコーヒー製品7品目を、最大40%値上げ。朝、寝起きのコーヒーを一日の活力源としていたお父サンにはつらい。

昼食だって値上げされる。

「10月から『餃子の王将』が、23年ぶりにメニューの大半を5~10%値上げすると発表しました。メインの餃子も20円値上げです。他にも、豚肉価格の高騰で、とんかつ関連店が軒並み3~5%値上げを予定しています。こうした安さが売りの飲食チェーン店では、客離れ対策として現在の税抜き・税込みの並記価格から"税抜きに統一"するそうですが、少々姑息な気が……」(前出・経済誌記者)

3時のおやつが大好きなOLたちにも、悲しい知らせが。

「オフィスの引き出しに常備している『コアラのマーチ』(一部商品)の内容量が減らされたんです(最大26%)。中身同様、楽しみも減りますね」(都内不動産メーカー勤務の20代女性)

食品だけではない。東京ディズニーランドは、平日夜限定の割引チケット「アフター6パスポート」を9月から500円値上げ。

先日、合併を発表した損保ジャパン日本興亜も、早々に旧日本興亜分の自動車保険料を平均2.5%値上げ。また、航空大手2社は国内線運賃を6年ぶりに値上げした(7月から)。具体的には、日本航空が平均1.5%、全日空は平均2%。エアドゥは7路線で平均7%もの値上げに踏み切っている。

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