株価だけは下げないように…

スポンサードするテニスの錦織圭選手の活躍が記憶に新しいアパレル大手のユニクロも、「8月から秋冬物の5%の値上げ」を断行。業界に衝撃を与えた。

電力業界は、またしても電気料金を上げるという。

「9月から東電が平均8.46%の値上げ。業界は、ここにきて収益が大幅に改善しているのに不可解」(電力業界に詳しいフリー記者)

この秋、あらゆる分野で値上げラッシュとなったのには理由がある。

「アベノミクスによる円安誘導で、原材料コストが上がったからです。ただ、元凶は4月の消費増税。結局、増税をすると、増税分以上に物価は上がってしまうんですよ」(前出・経済記者)

そんな庶民の窮状を前に、安倍首相も"城下の視察"を予定しているとか。

「8%増税直後には、日本橋三越を視察しました。庶民はあまり日本橋で買い物をしないんですけどね(笑)」(官邸担当記者)

その首相は、「10%への消費増税で景気の腰折れは絶対に防ぐ」ため、「引き上げの場合は、影響を最小限にするための手立てを行う」と明言する。

まずは、首相が満を持して発した15年度概算要求の特別枠。

「この約4兆円の予算に、シロアリのごとく各省庁の官僚が群がっています。予算を取るため無理筋の政策(予算要求)を出しており、結局ムダ金になる可能性が高い」(前出・官邸担当記者)

ちなみに、8%への増税時にも総額5兆円規模の経済対策が行われている。

「それでも、増税後の4~6月期のGDPはマイナス7.1%でした。これは東日本大震災時のマイナス6.9%を超えるマイナス幅です」(税政問題に詳しい五十嵐仁・元法政大教授)

今回も増税に踏み切れば、同じような事態を招く可能性が高い。

第二の対策が、公明党を中心に検討されている軽減税率(標準税率より低く抑えられた税率)だ。

「対象として検討されているのが、コメ・みそ・しょうゆ等の生活必需品。だけど、平成の時代に、コメ・みそ・しょうゆとは。本当に効果があると思っているのか」(経済誌記者)

最後の"隠し玉"が、株高を維持するための厚労省傘下の「GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)」の利用だ。

「年金資金を運用するGPIFが、日本株買いを増やすんです。これで株価を下支えするんでしょう。GPIF資金の利用が持論の塩崎(恭久)さんが内閣改造で厚労相になったのは、そのためです」(前出・デスク)

株価だけは意地でも高水準を維持させ、物価高であえぐ庶民の生活には知らんぷり。

アベノミクスの正体見たり、枯れ尾花か……。

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