食べた後は"牛"になるべし

「肉は男性ホルモンの原料にもなります。男性ホルモンが減ると、性欲が減り、さらに男性更年期症候群にもかかりやすくなります」(前出・藤田博士)

また、前出の志賀医師は、健康のために、特に意識すべき臓器は肝臓だという。

「肝臓は、ご存じのように解毒の働きをします。それ以外にも、たんぱく質やビタミンを分解し、アミノ酸を生成する栄養工場でもある。肝臓が弱ると糖尿病や心臓疾患など、生活習慣病のリスクが高まります」

厚労省の発表によれば、寝たきりになる要因の第1位に脳血管障害が挙げられているが、糖尿病患者はその発作を引き起こす可能性が非常に高いのだ。

そんな事態を避けるためにも肝臓対策は急務。そこで、志賀医師が勧める健康法が、食べたら横になること。"食べた後に寝ては牛になる"とよく言われるが、牛は大いに結構なのだ。

「横になると、肝臓に血液がどっと流れ込み、肝臓の負担が少なくなる。横になったときの血流を100とすると、立っているだけでは50しか流れません。激しい運動や労働が加われば、さらに20~30%も血流は悪化します」

一方、ボケ防止に重要なのが活性酸素の除去だ。近年の研究で、脳細胞が変性して起こるアルツハイマー型認知症は、脳内にたまった活性酸素が原因であるとわかってきたという。

医療ジャーナリストの牧潤二氏は、こう語る。

「活性酸素はストレスによっても発生する現代人の天敵です。これを取り除くにはSOD食材が有効です。SODとは"スーパー・オキサイド・ディスムスターゼ"の頭文字を取った名称で、直訳すると『活性酸素を除去する酵素』という意味になります。これが多く含まれている食材がごま、ほうれん草、大豆などです」

前出の藤田博士は、活性酸素の発生を抑えるため、50歳を過ぎたらご飯やパンなど、糖質の多い主食を控えることを勧める。

「人間が体内でエネルギーを作る方法には、糖分だけを燃料とする"解糖エンジン"と、酸素を使う"ミトコンドリア・エンジン"の2種類があります。若い頃は前者がメインですが、だいたい50歳を境に、糖分を必要としない後者がメインに切り換わります。それにもかかわらず、摂る糖質の量を減らさないと、ミトコンドリア・エンジンがうまく働けず、大量の活性酸素を発生させてしまうんです」

主食に加え、糖分の多いお菓子やジュースなども控えたほうがいいという。

また、老後に必須なのは、手助けを借りずに歩ける筋力。"老化は足から"という言葉もあるが、下半身の筋力は上半身の3倍の早さで落ちるという。体が支えられなくなれば、車イス生活、果ては寝たきりだ。

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