緊急出動して救援に向かった陸上自衛隊
「山岳レンジャー集団」の凄すぎる実力


9月27日14時31分、御嶽山噴火を受けて、長野県知事は、陸上自衛隊第13普通科連隊長に対して、災害派遣要請を出した。第13普通科連隊は松本駐屯地(長野県)に所在し、山岳機動(山地での各種活動)を得意とする「山岳レンジャー部隊」を有している。

レンジャーの基本は、敵に見つからずに山中を移動し奇襲攻撃を仕掛けること。全国各地の部隊でもレンジャー隊員の育成を実施しているが、第13普通科連隊の主な展開先は日本アルプスであることから、特別に「アルペン(山岳)レンジャー」と呼ばれている。

彼らは、標高3000メートルを越える山々での戦闘を専門とした日本唯一の部隊である。

そんな第13普通科連隊が所属する第12旅団は、"空の騎兵隊"とでも言うべき、"空中機動旅団"の別名も持ち、"隊員の足"となる大型ヘリを多数配備する第12飛行隊が編制されている。山岳レンジャーの移動にヘリは不可欠。そのコンビネーションは、御嶽山でもいかんなく発揮された。

彼ら、山岳レンジャー以外に、今回の任務を遂行できる部隊はない。ただ、この"山の精鋭"をもってしても、御嶽山でのミッションは困難を極めたという。

「実は運悪く、隊員の多くがワシントン州で行われていた日米共同訓練に参加していたんです。すべての隊員が帰国するのは28日でしたが、駐屯地に待機していた隊員たちで直ちに出動しました」(防衛省関係者)

火山特有の有毒ガスが充満していたのも、大きな障壁となった。被災者はもとより、救助に向かった隊員たちの2次被害の恐れがあったからだ。そこで、第12化学防護隊も派遣された。

化学防護隊とは、「NBC(核・生物・化学)兵器」に対処する専門集団だ。飛び交う噴石への対応も求められた。頑丈な装甲車が有効だと考えられたが、大量の火山灰のため、タイヤ式の装甲車では動けなくなる可能性がある。

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