電力業界は、まさに戦国時代に突入したといっていい。そしてその意味するところは、電力供給会社間の安売り競争が激化するということに他ならない。そうした意味でいえば、われわれ消費者も余計な電気料金を払わないようにするためにも、業界動向に注目していくべきだろう。

先週、電力業界第1位の東京電力と、同3位の中部電力が、火力発電事業の強化を目的に提携していくことで合意し、これを発表した。具体的には、燃料用の天然ガスの購入や古い火力発電所の建て替えなどを共同で行うというもの。

この両者の提携は、電力業界のみならずエネルギー業界全体に激震を走らせることとなった。それというのも、この両者の天然ガス購入量を合算すると、世界最大級となるからだ。

「結果的に、この両社の動向が、世界の天然ガスマーケットの動きを大きく左右することになる。つまり、この両社は、やり方次第で天然ガスを安く買い叩くことも可能になるのです」(大手商社担当者)

改めて指摘するまでもなく、天然ガス価格はそのまま電力料金に連動することになる。

つまり東電と中電は、他の電力会社よりも安い価格で消費者に電力を供給できるようになるのだ。ましてや、原発の再稼働が見通せない状況では、東電・中電連合にとってより有利に働く。

折しも電力マーケットは、2016年4月から家庭向けを含む電力小売りが全面的に自由化されることになる。そうなってくると、供給体制さえ整えば、関西地区に在住していても、東電や中電のユーザーになることが可能になってくる。また逆に、東京に居住している人が、関電のユーザーになることもできるのだ。

基本的に、電力のユーザーが電力会社を選択する際には価格に左右されることになるだろう。

つまり、安い価格を提示することのできる電力会社は圧倒的に有利な立場に立つ。そしてそれゆえに、東電と中電の提携は、電力業界に激震を走らせることになったのだ。


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