鼻が利かなくなるということは、5年以内に死亡する可能性を示唆するサインであるという論文が、アメリカの科学誌「プロスワン」に掲載され話題になっている。

研究論文は「全米社会生活健康加齢プロジェクト」の一環として行われた、在宅調査の結果を元にしたもの。調査では57〜85歳の調査対象のうち、嗅覚に関する簡単なテストに答えられなかった人のうち、39%がその後の5年以内に死亡していることが判明した。また軽度の嗅覚低下の場合は19%、健全な状態の場合は10%だったと報告されている。
論文の執筆者であるシカゴ大学の准教授によると、嗅覚機能の低下は『炭鉱のカナリア』のようなもので、体内になんらかの大きな異常が発生したことをあらわすサインだと説明している。

ただ嗅覚機能が低下することと、死亡との明確な関連性は、今のところ明らかになっていない。そもそも匂いを感じる嗅覚受容体の正体が長いことわかっておらず、2004年にノーベル生理学・医学賞を受賞した、リチャード・アクセルとリンダ・バックの研究でようやく明らかになったのだ。

今のところは調査段階ではあるが、今後嗅覚の研究がすすめば、面倒な検査をせずとも匂いをかがせるだけで、患者の危険な状態を把握することができるだろう。

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