今年の秋は"豊作"か"不作"か。 特Aランクの超高校級即戦力 から変わりダネの注目株まで。 球界の未来を担うのは彼ら!

球界の秋の風物詩、ドラフト会議(新人選手選択会議)が、10月23日の17時から開催される。
会場は東京のグランドプリンスホテル新高輪。TBS系列のテレビでも全国放送されるファン注目のイベントだ。
すでに大学生70人、高校生94人の計164人が、義務付けられている「プロ野球志望届」を提出。 これに社会人野球の有資格選手を加えた中から、明日のプロ野球選手が生まれる。まさに運命の一日だ。

「今年のドラフトは有原航平(ありはらこうへい)(早稲田大)と安楽智大(あんらくともひろ)(済美高)の両右腕が中心。2人が複数の球団から1位指名されることは確実な情勢です。その一方、今年は目玉と言えそうな選手がそれほど多くない。球団側も競合を覚悟して勝負に出るか、回避して他の選手を指名するか、頭が痛いでしょうね」(スポーツ紙デスク)

さらに、今年はオフに監督交代が相次いだため、来シーズンのチーム編成やドラフトの方針などが固まっていない球団も多く、ギリギリまで指名選手を確定できない可能性が高い。
つまり、今年のドラフトは波乱含みで、意外な結果になるかもしれないのだ。
波乱といえば、今年はドラフト上位指名候補の選手が軒並み、故障したり、昨年よりパフォーマンスの質を落とし、これがスカウト陣を悩ませている。

「安楽は昨年夏の甲子園で準優勝した際、5試合に登板し、772球も投げている。そのせいで右肘を痛め、今年は愛媛県大会3回戦で姿を消し、甲子園に戻ってこられなかった。最速157キロのストレートだけでなく、スライダー、カーブも一級品。体は頑強なんですが、はたして右肘の状態は万全なのかどうか」(在京球団スカウト)
有原も今年9月、オープン戦で右肘に違和感を覚え、その後の登板を回避した。

「あれはあくまでも大事を取っただけで、右肘に問題はないようです。秋季初登板となった9月28日の明大戦では、3回無安打無失点、5奪三振と完全復活。やはり、有原は今年の大学ナンバーワン投手ですよ。重い球質のストレートに精度の高いスライダー、チェンジアップはプロでも十分通用する。ただ短いイニングはよくても、長いイニングを投げたときに突然、崩れることがあるのが今後の課題でしょうね」(スポーツ紙遊軍記者)
ちなみに有原を指名する球団だが、
「彼は広陵高の出身だけに、地元の広島が1位指名を決めています。一方、即戦力投手が欲しい巨人も1位で行きそう。巨人の山下スカウト部長は広陵高の先輩ですしね」(巨人番記者)
はたして有原には何球団が手を上げるだろうか?

同じ東京六大学のドラ1候補、石田健大(けんた)(法政大)、山崎福也(やまさきさちや)(明治大)の両左腕も、4年生になって調子を落としたものの、評価の高さは変わっていない。
ドラフトで上位指名が予想される"金の卵"たちを、まずは彼ら大学生投手からチェックしていこう。

石田は右打者の懐をえぐるストレートが武器。 小気味のいい投球が身上の実戦派左腕だ。
「腕の出どころが見づらい投球フォームはカブスの和田毅そっくり。プロの打者でもてこずるでしょうね」(前出・スカウト)
日大三高でセンバツ準優勝の経験を持つ山崎は荒削りながら、スケールの大きさを感じさせる本格派のサウスポーだ。
「父親が元巨人の山崎章弘(あきひろ)氏なのもプロ向きと言えるでしょう」(夕刊紙記者)

同じ"山崎"で忘れてはいけないのが、山崎康晃(やまさきやすあき)(亜細亜大)。 力のあるストレートと多彩な変化球で、先発もリリーフもこなせる即戦力右腕だ。
「中日の落合GMがゾッコンとか。1位指名もありえます」(前出・遊軍記者)
沖縄・興南高のエース左腕として、"琉球トルネード"の異名を引っ提げ、甲子園春夏連覇の偉業を達成した島袋洋奨(ようすけ)(中央大)は大学では伸び悩んだが、ワンポイントならプロでも面白い存在になりそうだ。

最速147キロ左腕の戸根千明(とねちあき)(日本大)、最速149キロ左腕の佐野泰雄(やすお)(平成国際大)はパワフルな投球で注目され、ドラフト候補にのし上がった。
「戸根は中日、楽天が関心を示しています。佐野にはオリックスも指名の構えを見せてますね」(前出・スポーツ紙デスク)
史上初の京都大出身プロ野球選手になれるかどうか、野球ファン以外からも注目されているのが田中英祐(えいすけ)だ。
「田中は工学部のエリート学生らしくクレバーな投球をします。フォークのキレ味は一級品。体力がつけば意外にやるかも」(前同)

  1. 1
  2. 2
  3. 3