イラスト/グ スーヨン

よくある映画関係者との会話。
「このシナリオには、恋愛が入ってないですよね」
オレの映画には、恋愛的な要素があんまり入っていない、
というか、ほとんどない。

「ダメですか?」
オレの映画には、恋愛感なんて必要ないでしょ。

「まぁねぇ、少しは男女の色恋というかドキドキ感がないとねぇ」
オレの映画には、その手のドキドキ的な要素があんまりない。
というか、ほとんどない。
「ダメですか?」
だからぁ、必要ないでしょ。

「ダメっていうワケじゃないけど、映画観る人たちはさ、みんなそういうのが好きだからさ」
その根拠は?
そういうのが好きな人が、いったい全体の何%いるんですか?
年齢別にグラフで表示してください。

「ダメってことですね?」

「それとね、この役の役者なんだけど、やっぱり今の旬っていうか、売れてる人を起用しないとねぇ」
オレが役者さんを決める時に、売れてる売れてないで選んでいません。
「ダメですか?」
その人の演技が下手だったら、アナタが責任とってくれるの?

「映画館に来る人たちってのはミーハーなんだからさ、知ってる役者が出てないと、観てくれないのよ」
だからね、その根拠は?
「ダメってことですね?」

アンタのアイディアで、
確実にヒットするって約束してくれて、
もしダメだったら、オレに10億円くれるって言うんなら、
そのアイディアを聞いてやるよ!


この場合、彼のアイディアは2つである。
1.恋愛的なドキドキ的な要素を加えるべきである。
2.みんなの知っている旬な役者を起用するべきである。

まぁねぇ、
映画プロデューサーって肩書きがついた100人中99人が言いますね。
オレなんか、100万回は聞いてます。

そりゃね、いろんなアイディアがあっていいんですよ。
いろんな人がいるんですから。
間違ったアイディア
くだらないアイディア
とんでもないアイディア
面白いアイディア
無理なアイディア …などなど


でもね、
一番ダメなのがコレ!
当たり前のアイディア
言い換えれば、フツーの意見

誰もが考える当たり前なアイディアってのは、
ただのフツーの意見であって、アイディアじゃな~い!


それに、上の会話では、
映画の内容や、内容の本質についてひと言も語られていない。
内容に関係のない見かけだけの話なんですね。

ブランド物で固めた女が信用できないのと一緒だよね~

人間は、物事の本質に触れている感じがすると興味を示すらしい。
どこかの本に、そんなことが書かれてた(何の本かは忘れた)。

物事の本質って?


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