「巨額が動くレースから本命がリタイア。残された者たちの動きが、ますます活発になってきました」
と、全国紙記者が語るのは、言わずと知れたカジノを巡る主導権争いだ。

「10月8日の参院予算委員会で、安倍首相は、カジノリゾートの実現を目指す超党派の『国際観光産業振興議員連盟(通称・カジノ議連)』の最高顧問を辞任する考えを示したんです。当人は是が非でもしがみついていたかったでしょうが、共産党議員から批判を受け、泣く泣く退かざるをえなくなったのです」(前同)
日本では法律で禁じられているカジノだが、かねてパチンコメーカーなどからなる遊技業界が強く解禁を要望。 さらに、外国からの観光客誘致による経済効果や税金獲得の面などから推す声もあり、2020年の夏季五輪が東京で開催されることで、実現へと大きく動き出した。カジノ議連は今国会での法案成立を期している。
「日本におけるカジノの推定市場規模は、1兆~2兆円。それを支えるカジノ議連は、市場規模20兆円前後の遊技業界からの支援はもちろん、その法整備やルール作りに大きな影響力を持つとされます。そのトップがいきなりいなくなれば、主導権争いの激化は必至です」(同)

この利権をわが物にせんと、すぐに動いたのが、森喜朗元首相と橋下徹大阪市長の2人だという。
「森元首相は遊技業界と親交が深く、大手メーカーの有力者の親族の結婚式に安倍首相と一緒に参加する姿を週刊誌に撮られたほか、カジノ実現へのきっかけとなった東京五輪招致委員会のトップを務めるなど、利権受け皿の最右翼です。森元首相は安倍首相と同じく東京・お台場への誘致を進めているとされ、ここを本拠とするフジテレビなどとの連携が噂されています」(政治部デスク)

一方の橋下市長は、自身ゆめしまの本拠である大阪の夢洲への誘致を以前から声高に主張していた。
「安倍首相の辞任表明後の15日にも"少子高齢化のなか、大都市が金を稼ぐために必要だ"と改めてカジノ施設の大阪設置を主張。次の東京五輪までに、カジノまでのアクセスを整備する構想です」(同)

さらにここにきて、東京・浅草案も急浮上した。
「大手遊技メーカーと複数の大手芸能事務所が共同で浅草の開発に乗り出し、年内にもその一部として巨大娯楽施設が開業する。そのメイン施設にカジノを誘致する案も練られているそうだ。外国人観光客の多さや、先行開業する点から、お台場や大阪からカジノを"強奪"する可能性もある」(業界関係者)

はたしてカジノを手中に収めるのは――。

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