――今回、そんなVシネマに限りなく近い映画『25 NIJYU-GO』ですが、現場はいかがですか?

寺島 だから、撮影中も楽しくてしょうがなかったもんね。哀川さんと絡んでても楽しくてしょうがない。
やっぱりVシネ独特の空気感もあるし、脚本は柏原寛司さんとか、大川俊道さんとか、もう素晴らしい脚本家が書いているから面白いんだよね。脚本の力というか、ベースがしっかりしてるからアドリブを入れたりして遊べるんだと思う。これが妙な説明台詞ばっかりだったら頭が「???」って疑問符ばっかりで遊びどころじゃないから。
鹿島監督も初めてなんだけど、遊び心があって「もっとこうやろう」みたいな感じでキャラクターを膨らませてくれる。だから、すごく面白いよ。

――25年前の寺島さんが、今の寺島さんを見たら、どう感じると思います? 『クライムハンター』の"赤っ鼻"から25年経って、東映Vシネマの記念作品に出演する、素晴らしい俳優さんになった姿を見て……。

寺島 いやいやいや、何言ってんの(笑)。
でもそうだなぁ……気持ちはあんまり変わらないよね。人間ひたむきさがないと下品になるっていうじゃない? だからひたむきさは変わらないし、変わらないでいなきゃと思ってる。良くも悪くも人生いろいろあるけど、どんなときも変なふうに変わらないでいるっていうのが、人としての基本だと思うしね。
今回この作品に出てる人っていうのはみんな変わらないんだ。哀川さんは最初からスターだったけど、今も昔も全然変わらないもんね。ずっとスター街道を走り続けるって本当に大したもんだし、すごいと思うけど。
俺、デビューして30年なんだけど、この世界に入って5年後にVシネができた。右も左もわからない、役者でやって行けるのかもわからないってところに"赤っ鼻"があって。少しづつ仕事が忙しくなると、生意気になって反抗してさ、Vシネマを避けようとした時期もあったけど、でもまた帰ってきて。やっぱり面白いなぁと思って続けた先にこの『25 NIJYU-GO』があった。やってて正しかったなって思ったね。

――なんか感動です……。Vシネマに思い入れのある出演者ばかりで作られた『25 NIJYU-GO』が、本当に楽しみです!

寺島 だから、この映画は俺の中で"お祭り"だと思ってる。楽しんでいる人を見てると、見てるほうも楽しくなるじゃない? 反射鏡みたいなもんで、こっちが楽しまないと意味ないと思うんだ。
Vシネマ自体もこの祭りをやったことでさらに盛り上がって、5年後には『30 SAN-JYU』をやって欲しい。そしたらまた出たいよ。そのためにもいい歳の取り方をしたい。変わらなくてもいいけど、進化はしないとな。なんといっても寺島は「進」だから(笑)。でも難しいんだ、これが。


(文:大道絵里子)

■プロフィール
寺島進(てらしますすむ)
1963年11月12日、東京都生まれ。『ア・ホーマンス』(松田優作監督86年)でデビューし、その後、北野武監督に見出され『その男、凶暴につき』(89年)以降、北野作品の常連となる。『交渉人 真下正義』(06)では、日本アカデミー賞優秀助演男優賞を受賞するなど、受賞歴も多数。近作は声優として出演した『思い出のマーニー』(米林宏昌監督 14年)、『イン・ザ・ヒーロー』(武正晴監督 14年)など。また東映Vシネマ12年ぶりの新作となる『流し屋 鉄平』(榊英雄監督)にも主演、来年3月 リリース予定。


“Vシネの帝王”哀川翔 主演
『25 NIJYU-GO』
11月1日(土)全国公開!!


悪徳刑事コンビ、横領公務員、老舗ヤクザ、強欲ホステス、謎の殺し屋……。『ワケアリ』の現金25億円に、25人の悪党たちがそれぞれの思惑を胸に、一気に群がる!! 裏社会を舞台に繰り広げられる、欲望と本能のバトルロワイヤル。25億円を奪うのは、いったいどの悪党か!?

出演:哀川翔、寺島進、高岡早紀、温水洋一、小沢仁志ほか
脚本:柏原寛司、大川俊道、岡芳郎、ハセベバクシンオー
監督:鹿島勤

●『25 NIJYU-GO』公式サイト
http://nijyu-go.com/

●【東映×日刊大衆 特別企画】マンガ版『25 NIJYU-GO』公開中!!
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