ドリンクバーでは"100%"を

もしかしたら、本誌記者は資本主義という名の砂漠の中で、性善説という名のオアシスの空想を信じていたのかもしれない。
いや、こうしてはいられない。本誌読者のために、"原価の闇"を暴かなければいけない。そう一念発起して向かったのは、近所のファミレス。
まずは読者にとって身近な暗部にメスを入れようと思ったのだが、本誌記者だけでは心もとないため、全国紙の経済部デスクで、原価や小売りに詳しい肇(はじめ)氏(仮名=以下同)に同行してもらった。
「ここのハンバーグって単品で600円やん。原価はいくらやと思う?」(肇氏)
このハンバーグは、目玉焼きにポテト、そしてわずかながら野菜まで添えられている。しかも、ハンバーグにフォークを差し入れると、肉汁がドピュッ……。500円は必要でしょ?
「ちゃうちゃう。180円がええとこやで。店でいちいちこねんと、一括仕入れした材料を工場の機械で作って値段を抑えるんや。ちなみに、安さが売りの有名ファミレス・Xのハンバーグなんて、輸入の安い材料を使うことで原価30円や。ほなら、食事とセットで180円になるドリンクバーって、何杯飲めば元取れると思う?」(前同)
コーラに100%果汁飲料など10種類以上のジュースに、コーヒーや20種類近いお茶類まで。3杯飲めば、十分でしょ?
「あかん、あかん。一番高い100%ジュースから、店内で作るお茶までバラつきがあって、だいたい10円から30円ほど。せやから、最低でも6杯は飲まな、損することになんねん」(同)ということは、この店はハンバーグを3倍の価格で売り、ドリンクバーで疑似満腹感を与えんとする守銭奴ということか!「原価は低うても、家賃に電気代、水代もかかれば人件費もかかる。当然、宣伝費だって嵩(かさ)むやろ。そういうのを入れたら、ファミレスに入る儲けは値段の10%がええとこやな」(同)
原価が低いのは、他の経費もあるからだったのか!ファミレスさん、疑ってごめんなさい……。続けて本誌記者が訪れたのはコンビニ。毎日、お世話になっているここを外すわけにはいくまい。
そもそも、コンビニの商品自体がスーパーに比べて高いのは、なんで?
「同じ商品でも、コンビニの場合、24時間営業ということで人件費、光熱費がかさむからや。その代わりに夜中でも早朝でも欲しいときに欲しい商品が手に入る。便利なうえに安くしろじゃ商売にならへん」(同)

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