身のまわりで小さなクモが徘徊しているだけでも、拒否反応を示す人は多いだろう。だがそのクモが、全長30センチという特大サイズで現れたらどうする!?

まあ、この記事をお読みの日本の皆様、ご安心めされよ。その大グモが生息するのは南米北部のガイアナ共和国。ハーバード大学の昆虫学者ピオトル・ナスクレッキ氏が、数年前の遭遇を最近になってブログで述懐したことで話題となったのだ。
昆虫などの生息調査をするため、ナスクレッキ氏が夜のジャングルを歩いている時、自分の足音と別の、落ち葉のカサカサ砕ける音が聞こえてきた。足音の大きさからその生き物がネズミのようなげっ歯類だと考え慌ててライトを向けると、大きくて毛深い子犬サイズの塊が……。そう、それが世界最大のタランチュラ「ルブロンオオツチグモ」だった!
体重は170グラムにも及び、「バードイーター(=鳥喰い)」とも呼ばれ恐ろしいイメージを持つオオツチグモだが、実際に食べるのは節足動物がほとんどで、大きいものでもトカゲまで。口吻部の鋏角から毒を分泌するが、治療する必要がないほどの毒性しか持たない。
だが腹部にビッシリ生えた刺激毛には要注意。オオツチグモは後ろ脚で毛だらけの腹部を擦ってその毛を空気中に放つのだが、それが猛烈なかゆみを誘うのだ。ナスクレッキ氏も被害者の一人。一番初めにその腹部をこする仕草を「なんて可愛いのだ」と観察してたのだが、刺激毛が目に触れたせいで数日間はかゆくて涙が止まらなかったとか。
ちなみにこのオオツチグモ、こんなグロいルックスでありながらも南米では食用として重宝されている。蒸し焼きにすれば、意外にもスモークしたエビのような味がするんだとか。
アラクノフォビア(クモ恐怖症)という言葉がある反面、英国では熱心な飼い主による世界一美しいタランチュラを競うコンクールも毎年開かれている。糸を使わずとも人を惹きつける妖しいパワーを、クモは持っているのであろうか。

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