結婚指輪代金80万円を払え!

●ケース(3) 被告は中年男性。容疑は道路交通法違反(飲酒運転)

一審判決(懲役5月・執行猶予2年)を不服とし、東京高裁に控訴した男の裁判。
「男は、運転する直前、車内で日本酒を1合イッキ飲みしたそうです。家はすぐ近くだから酔う前に帰れるだろうと思った、と自分の行為を正当化していました。運悪く(?)、運転して2分後に警察に呼び止められ、呼気検査でアルコールが検知された。しかし、被告はそのデータは信用できないと主張したんです」(今井氏)
この裁判では、なんともアホらしい"実験"が行われた。酒をイッキ飲みして数分でアルコール反応が出ることを証明するため、検察は公費を使って80名もの被験者を使った鑑定を専門家に依頼したという。
「しかも、この鑑定、被験者は被告のように日本酒をイッキ飲みできず、飲み終わるまでに1~2分かかったという。それでは、証拠にならないのでは、と思うんですが……。あんな主張に、税金の無駄使いをしていることに腹が立ちますよ!」(前同)

●ケース(4) 原告は暴力団組員。式場を相手に損害賠償請求

数年前、ホテルで結婚式を挙げようとした男は、組員であったために式場から契約を破棄された。ほかの場所を探したが見つけられず、結局、その日に式を挙げられなかったという。
「夫婦は結婚式当日の日付が刻印された結婚指輪を用意していたが、契約解除により使えなくなったことに激怒した。それで、その指輪相当額の80万円を支払えと訴えたんです」(大阪地裁担当記者)
暴力団排除の風潮も後押しし、ホテルの契約解除は適法で、損害賠償義務なしの判決。そりゃ無理もない。

ここまで見てきたように、人間の罪を裁く法廷では、悲喜こもごもの人間ドラマが日々、繰り広げられている。
「なかでも、"濃度の高さ"で言えば、性にまつわる犯罪でしょう。わいせつ系裁判では、傍聴人がブッたまげるような話がバンバン飛び交っていますよ」(前同)
99年から実に1万件以上傍聴し、「裁判ウォッチャー」として知られるお笑い芸人の阿曽山大噴火氏が、仰天のトンデモわいせつ裁判実例を挙げてくれた。

●ケース(5) 被告は32歳男性。容疑は東京都迷惑防止条例違反

女性が書店で本を選んでいるところを、背後からスマホでスカートの中を盗撮。それを店長に目撃され御用になった男は公判で、これまでにも7件ほどの余罪があると認めた。
だが、「すべて撮影直後に消去していた!」と証言したことから、法廷はおかしな方向に……。
弁護人「え、せっかく撮ったのに?」
検察官「そういうのって、見て楽しむものじゃないの?」
被告「いえ、10分以内に消していました」
裁判官は、被告が盗撮動画を見始めたことを犯行動機と供述していたことから、盗撮動画は繰り返し見ないのかと質問する。
被告「気に入ったのは何度か見ることも……」
裁判官「だったら(盗撮画像も)パソコンに保存しとかないと!」
なぜか、裁判官からパンチラ写真の保存を勧める発言が!
「どうやら、この被告は自分で盗撮した映像を後で楽しむというより、盗撮するスリルから犯行を重ねていたようでした」(阿曽山氏)

  1. 1
  2. 2
  3. 3