食材になる生き物がもし巨大化したら……たとえば巨大な鮭がいたら、何百人分のイクラ丼ができるのか? 直径1メートルのウニからは何百人分のウニ丼ができるのか? そんなことを子どもの頃、一度は考えたことありませんか?
で、1メートルの巨大エビならば、どんだけ大きなエビフライが……と、実はこれ、妄想ではなく実現するかもしれなかったのだ。
というのも、中国浙江省温州市で去る11月2日、漁民が 長さ約1メートル重さ約3キロの伊勢エビを捕獲。 60万元(約1130万円)の高値で売却された、とニュースが流れたのだ。地元の漁民たちは、これほど大型の伊勢エビはかなり珍しいと驚いているとのことだったが……。

インターネットに投稿された写真を見ると、たしかにデカい。まるで南海の大決闘に出てきた『エビラ』ではないか! しかし……どうにも写真に違和感を感じる。1メートルというのは、どうも微妙な気が……。そこで実際にこんな巨大な伊勢エビがいるものなのか、某水族館関係者に聞いてみた。

「このエビはニシキエビと言い、イセエビの仲間では最も大きくなることで知られています。ただ……この写真の大きさで3キロですか? その程度ならば沖縄あたりでは普通に捕獲されます。おそらく広角レンズを使って、エビを手前に、人を後ろに持ってきて遠くから撮影したのでは? ちなみにニシキエビの大きいものではヒゲ(第2触角)の先端から尾の端まで1.2m、体重7キロ程度になりますよ」(関係者談)

たしかに、売却されたエビの行方については、なにも報道されていない。ここまで大きなモノであれば、競り落とした人の情報があってもおかしくないが……。また、埼玉県某市の生け簀料理店で板前をしているAさんも疑問を抱く一人だ。
「この大きさで3キロ? だとしたら身はスカスカでしょう。食べても美味しくないでしょう、たぶん。ニシキエビだと、1キロ当たり大体5000円程度で取引されるんだけど、30キロならまだしも、3キロで1130万円という価格は……ありえない(苦笑)」(Aさん談)

中国ではニシキエビは縁起物とされ大きなものは高値で買われることもあるようだが、このニュースで報道されたサイズは不正確なものだったようだ。ちなみに山形県の庄内浜沖の深海に生息する希少な甲殻類にガサエビ(シャコの仲間)というのがいるが、コチラはさながら『“ガセ”エビ』とでも名付けたくなる一件である。

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