球団創設以来初の優勝から一転、屈辱の最下位。闘将去りし後の"杜の都"は、新監督の就任で大混乱に!

「星野監督の後任として"デーブ大久保"こと大久保二軍監督の名前が挙がったとたん、ブーイングの嵐が吹き荒れました。一部ファンがインターネット上で大久保氏の監督就任反対の署名活動を始めると、あっという間に5000人以上の署名が集まった。ここまで拒絶反応を示される監督も珍しいですよ」(スポーツ紙デスク)

星野仙一氏(67)の任期途中の退任を受け、来季の楽天を率いることとなった大久保博元(ひろもと)監督(47)。この"新人事"により、楽天チーム内は分裂危機に陥っているという。
「今季、楽天の二軍監督を務め、星野監督が病気で戦線離脱した際には、一軍の監督代行を務めた実績もあります。なのに、ここまで強烈な拒否反応が出るとは、楽天側も想像していなかったようです」(前同)

各スポーツ紙が大久保氏の"一軍監督への内部昇格"を報じ始めたのは9月末だったが、大久保氏の正式な就任会見が行われたのは10月14日。その遅れがさまざまな臆測を呼んだ。
「大久保さんを監督に据えたのは三木谷浩史オーナーの意向でした。しかし、そのオーナー本人ですら、周囲の反対の声の多さに愕然としたといいます。結局、オーナーが押し切りましたが、立花陽三球団社長以下フロント陣だけでなく、コーチ、選手も大久保さんだけには監督になってほしくなかった、というのが本音です」(楽天球団関係者)

水戸商業高で捕手として活躍した大久保氏は84年、ドラフト1位で西武に入団。レギュラーに定着できぬまま、92年にトレードで巨人に移籍し、95年に引退した。
引退後は明るいキャラクターを生かして野球評論家やタレントとして活動していたが、08年、渡辺久信監督(当時)の要請により古巣・西武で一軍打撃コーチに就任している。
「デーブの悪評が流れるようになったのは、西武復帰以降です。特に、10年、西武二軍コーチ時代に菊池雄星相手に暴行事件を起こし、結果的にチームを解雇され、イメージが悪化しました。デーブは情熱あふれる熱血漢ですが、口も手も出る古いタイプ。合理的な指導に慣れている若い選手たちとはズレがありますね」(スポーツ紙西武担当記者)

かつて球界でも"愛のムチ"が日常的に行われていたのは事実だが、あくまで過去の話。この時代、暴力は許されるものではない。
今年2月、楽天二軍の沖縄・久米島キャンプでは事件も起きた。今季から内野にも挑戦するため、柿澤貴裕外野手(19)が大久保二軍監督(当時)から、特守ノックを受けていたときのこと。
「柿澤が突然、グラウンドにぶっ倒れたんです。駆けつけたトレーナーが心臓マッサージを施し、幸い意識を取り戻しましたが、その後、救急車で病院に運ばれています。柿澤は、炎天下の練習で脱水症状を起こしていた。一歩間違えれば大ごとで、デーブは球団から"厳重注意"を受けています」(前出・楽天球団関係者)

もちろん、この一件は暴行事件と異なり、選手を育てる熱意が行き過ぎたうえの出来事だったのだろう。
巨人での現役時代、投手として大久保氏と向き合った経験のある野球評論家の橋本清氏は、こう語る。
「僕も大久保さんには怒られたクチですが、それがひどいと思ったことはありません。僕の性格を見抜き、怒ることで"ナニクソ!" という気持ちを引き出してくれた。大久保さんを批判する人たちがいるのは承知していますが、人によって見方は違うものですからね」

いまや楽天の不動のレギュラーであり、今季3割2分7厘の好成績を残した銀次(26)も、大久保氏が育てた選手といわれる。
では、なぜ"大久保新監督"の誕生に対し、これほどまでチーム内で「反対!」の声が上がったのか。
「デーブが嫌われるのは、厳しい指導が理由ではありません。周囲が鼻白むほどの"処世術"を身につけているため、あまり信用されていない。簡単に言えば、下の者に厳しく、上の者に取り入るのがうまいんです」(前出・西武担当記者)

そもそも大久保氏が二軍監督として楽天入りを果たせたのも、その処世術の賜物(たまもの)だという。
「デーブに声をかけたのは、三木谷氏本人だったと言います。よくできた話すぎてちょっと怪しいんですが(笑)、三木谷氏の子息がデーブ主宰の野球教室に通っていたことがきっかけだったというんです。教え方が上手だと子どもから聞き、会ってみたらデーブを気に入った。それでチームスタッフに引き入れたそうです」(スポーツ紙デスク)

この話の真偽のほどは不明だが、今回の新監督抜擢を見れば、三木谷オーナーが大久保氏を高く評価していることは事実だろう。
「デーブの、上の人間を持ち上げる人たらしテクニックは素晴らしいですよ(笑)。いや、嫌味ではなく、あれだけうまく人の心に入り込む野球人はそうはいません。人の話に大げさに反応して相手を気持ちよくしゃべらせ、ちょっとしたことでも徹底的に褒める。あれをやられたら、みんな好きになりますよ」(前同)

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