怪しげな「ハーブ」を吸引した男が運転する車が池袋駅周辺で暴走。通行人を次々はね、中国人女性が死亡した――。今年夏の悲惨なニュースを覚えている読者も多いだろう。

今、国会で審議されている新しい薬事法が成立すれば、成分や化学式が特定されなくても、この「脱法ハーブ」改め「危険ドラッグ」を禁止できるようになるらしい。ただ、安心はできない。この危険ドラッグには、中国という「後ろ盾」がいるからだ。

先日、危険ドラッグの材料になる薬物を輸入した日本人の男が逮捕されたが、実際、危険ドラッグのかなりの部分は材料が中国から来ている。それは、今の中国が「麻薬天国」であることと無関係ではない。

俳優ジャッキー・チェンの息子が先頃、大麻の使用容疑で中国の公安当局に逮捕されたが、彼のケースは氷山の一角でしかない。氷山の一角というのは、芸能界だけの話ではない。麻薬汚染は広く一般市民の間にも広がっているのだ。

特に、この20年間の経済発展で生活レベルが上がり、最初に富裕層の間でドラッグが広がった。あまり知られていないが、中国は「医療用」大麻の生産大国だ。ほかにも、覚せい剤や幻覚剤が広く使われており、最近は市民の間にもまるでマージャンのように「麻薬という娯楽」が広がり始めている。

人口13億人の国で「娯楽」として普及すれば、材料を簡単に手に入れられるようになる。日本に輸出するだけでボロ儲けできるのなら、やらない手はない。中国では今や学生までが、日本への危険ドラッグの材料輸出に手を染めている。

中国から輸出された麻薬が原因で、中国人がひき殺される――何とも皮肉な話だが、これが「危険ドラッグ」の現実だ。


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