大変動がささやかれた今季のストーブリーグだったが、蓋を開けてみれば凪状態。だが、ついに動き出した!

「FA宣言すると決めました。すべての可能性を考えたいなと思ったので」
11月11日、日米野球の日本代表として兵庫県鳴尾浜で練習中だったオリックスの金子千尋投手(31)が、報道陣を前に高らかに「国内FA」を宣言。これに球界は色めき立った。直前まで、金子はFA宣言はしない、と確実視されていたからだ。
「来年、海外FAの権利を取ってメジャー挑戦。もしくは今オフ、ポスティングでメジャー移籍のどちらかになると言われていました。なので、獲得を目指していた巨人、阪神、中日、ソフトバンクも最近では、すっかり諦めムードだったんです」(スポーツ紙記者)

ところが、今回の急転直下の国内FA宣言で、各球団は「やっぱり金子を獲れ」と一斉に動き始めたのだ。
とはいえ、金子獲得に最も熱心だったはずの巨人の動きは鈍い。
「安定した先発投手が菅野智之しかいない巨人にとって、金子は喉から手が出るほど欲しい選手だが、この1年、完全に彼に振り回されましたからね……」
こう語るのは専門誌ベテラン記者だ。実は当初、金子争奪戦で巨人は一歩も二歩もリードしていたという。
「金子自身、"優勝できる球団に行きたい"と話していましたし、奥さんも巨人ファン。そして何より、"金子はメジャーには行かない"という読みが巨人の首脳にはあったんです」(前同)

金子は2004年のプロ入団前に肘の故障が発覚し、一時は入団撤回を報じられたこともあった。
「11年にも肘を痛め、手術に踏み切っています。メジャーの中4日のローテーションでは、すぐにパンクするとささやかれていましたし、彼自身も周囲に"肘には不安がある"と漏らしていました」(球界関係者)
そうした情報をいち早く入手していた巨人は、関係者を介して"金子を獲れる"という感触を得ていたというのだ。
「それが、8月に入って急に雲行きが怪しくなったんです。理由は、金子がメジャー志向を明らかにしだしたため。巨人が彼の意向を探ると、"野球人生の最後はメジャーで終えたい"という考えであることがわかり、撤収の様相になったんです」(前出・ベテラン記者)

しかし、ここにきて、またしても異変が発生。
「今回の国内FA宣言は、オリックスに今オフのポスティングでのメジャー挑戦を認めさせるためという見方もできるし、純粋に日本の他球団に移りたいという見方もできる。金子に入れ知恵をしている人物がいるのか、彼自身が揺れているのかは不明ですが、正直、意味がわからないですよね」(前同)

実は、金子と同時に、今オフの巨人には、もうひとつの"誤算"があった。
「楽天の嶋基宏捕手(29)の獲得失敗です。昨年の更改で嶋は複数年契約しているため、当初は今年のFAはないと目されていたんですが、実は"FAについてはフリーハンド"という契約内容であることが明らかになった。そこに"大久保新監督就任"のニュース。大久保と折り合いの悪い嶋がチームを出るのは確実との憶測が流れたんです」(前出・スポーツ紙記者)
阿部慎之助捕手を一塁にコンバートしようとしている巨人にすれば、嶋はうってつけの存在のはず。
「原監督は嶋獲得を熱望したが、フロントは嶋を評価していなかったんです。嶋の希望は全試合でマスクを被ること。当初、巨人移籍に傾いていたようですが、巨人内の不穏な空気を感じて残留を選んだんです。それで巨人は、やむをえずヤクルトの相川亮二捕手(35)に切り替えたわけです」(専門誌ベテラン記者)

巨人は横浜DeNAの金城龍彦外野手(38)の獲得にも動いているが、「当初、今オフのFAで予定していた金子、嶋が、相川、金城になったわけですからね。ショボいのひと言ですね」(前同)と言われる始末だ。

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