「覇権を握る」――その野望を隠そうともしない"赤い帝国"。日本、アメリカを制圧して、地球まるごと"わが領土"に!?

あの"笑顔なき握手"が、ゴーマン中国のすべてを物語っていた。
それは11月10日正午過ぎ、北京でのAPEC(アジア太平洋経済協力)首脳会議期間中のことだった。
第2次安倍政権の発足以来初、約3年ぶりの日中首脳会談開催が決定。カメラの砲列が待ち構える中、安倍晋三首相と中国の習近平国家主席が歩み寄った。
「公式にお会いすることができて、非常にうれしい」
笑みを浮かべて友好の手を差し出す安倍首相に、習主席はまさかまさかの宣戦布告。
「握手はしたものの、憮然とした表情のまま。その目は安倍首相を突き放すかのように冷え切っており、視線を合わせることは一度もありませんでした」(首相に同行したカメラマン)

直後に行われたサシの会談も、たったの25分で終了。
「焦点は二つ。一つは首相の靖国神社参拝、もう一つが尖閣諸島の領有権問題です。ただ、この二つともに明確な落としどころは得られず、日中双方が都合のいいように解釈できる"玉虫色"の合意となりました」(同行した政治記者)
解釈次第では、日中双方がいかようにも捻じ曲げられる"合意"。結果、紛争の根はより深まった、とまでささやかれる始末だ。

「今回の日中首脳会談で、これまでの日本の立場である"領土問題は存在しない(尖閣諸島は日本固有の領土である)"から、一歩後退したとの見方も出てきました。習主席はニンマリだったでしょうね」(軍事ジャーナリスト・古是三春氏)
中国の対日横暴、横やりは熾烈を極めている。最新の例が、中国漁船団数百隻による小笠原沖での無法赤サンゴ乱獲問題だ。

国際問題評論家・小関哲哉氏が言う。
「現在、米国に次いで世界第2の経済大国となった中国は国力の充実に伴い、領土拡張を主張し、時代遅れの"新帝国主義"を標榜するまでに至っています。その一つが、小笠原沖での赤サンゴ密漁。中国は(小笠原諸島を含む)太平洋のグアム手前までを自国防衛の"第二列島線"と定め、ここに漁船団を派遣。同海域の強奪に乗り出してきました」
国際問題評論家の井野誠一氏も憤懣(ふんまん)やるかたないといった口調で、こう指摘する。「中国の無法漁船団には、政府機関の人間が乗り込んで裏で指揮していました。それは、日本の無線傍受で明らかとなっています」

"海賊国家"中国は、今までに南シナ海で、ベトナムやフィリピンが領有権を主張する西沙諸島や南沙諸島で無法三昧。
「その手口は、まず大量の漁船団を使って、領海侵犯の一大デモンストレーション。その後、漁船保護を名目に、海軍艦隊を派遣して一方的に不法占拠。あれよあれよという間にトーチカ(防御陣地)を作って要塞化し、小さな島から大きな島まで次々と占領。それと同じことが今、小笠原沖で起きようとしているんです」(防衛省関係者)

日中首脳会談後、中国当局は形ばかりの取締り強化姿勢を見せるが、その本心はミエミエ。さらに、対ベトナム、対フィリピン、対日攻勢だけでは飽き足らず、世界征服の野望まで剥き出しにし始めた。
「まずは世界経済の要所を掌握したい。そのために第一に目指すのが、人民元を米ドルに並ぶ国際基軸通貨にすること。2021年の"中国共産党成立100周年"までに、これを成し遂げ、以後、世界を人民元の下にひざまずかせる計画といいます」(外務省関係者)
にわかには信じ難い壮大な計画だが、驚くなかれ。目下、イケイケドンドンで交渉を進めているという。
「先日のAPECでの中露首脳会談では、あのプーチン大統領でさえタジタジに。中露間の通商での人民元決済を拡大するようにと無理強いされ、しぶしぶ了承しています」(前同)

人民元を世界の通貨に――この野望の前に立ちはだかる米国主導のTPP(環太平洋経済連携協定)には、当然ながら反対。
「代わって、アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)構想をブチ上げています。今回のAPECでも、TPPに対抗する中国主導のFTAAP構想を強調。強硬姿勢を明確にしています」(全国紙経済部デスク)
また、新たに中国主導による「アジアインフラ投資銀行」の設置を提唱。米国中心の国際金融秩序に、公然と反旗を翻した。加えて、戦後の米ドル基軸の"守り神"IMF(国際通貨基金)改革も提言。中国主導での「新・国際経済秩序構築」に着手している。現秩序の破壊者として、メキメキと頭角を現し始めた。

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