競馬新理論 井崎脩五郎
JCの歴史を血に内包


昭和55年11月27日、日本中央競馬会は、翌年の競馬番組についてこう発表した。
「明年、国際招待競走と銘打ち、諸外国から人馬を招待して競走を実施するべく検討していたが、11月下旬に施行しているクモハタ記念の競走名を改め、ジャパンカップ競走とし、11月22日に施行することとし……」
つまり、名馬クモハタ(日本ダービー馬。種牡馬として天皇賞馬7頭を輩出)を記念して行われていたクモハタ記念が、ジャパンCになったのである。

しかしクモハタの威光はさすがで、ジャパンCでは、名前の中にク(グ)、モ、ハ(パ、バ)、タ(ダ)を持っている馬が連対し続けた。あるいは、そういう名前の馬の同枠馬が連対し続けた。1回の例外もなくである。

ところが、クモハタが死亡(昭和28年)して60年たった昨年、そういう馬も、そういう枠も連対しなかった。暦がひと回り(60年)して、新しい時代に入ったということなのか。
そこで注目はハープスター。
この馬は父ディープインパクトがジャパンC1着。母の父ファルブラヴもジャパンC1着。そして祖母の父トニービンはジャパンC5着ののち、種牡馬としてジャパンC1着馬(ジャングルポケット)を送り出している。

まさに、ジャパンCの歴史を内包している馬。旧と新とを繋ぐにふさわしい馬だと思う。

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