"日朝の応酬"が過熱してきた。朝鮮総連(在日本朝鮮人聯連合会)中央本部の土地建物の競売問題で、最高裁は5日、徳島県の不動産業者「マルナカホールディングス」への売却許可を不服としていた総連側の抗告を棄却した。

日本政府代表団が10月下旬に訪朝し、拉致問題の根本的解決を約束したにもかかわらず、北朝鮮側はのらりくらり。
日本人拉致被害者調査の具体的な回答期限も示さないなど"じらし戦術"を取る中で、今回の最高裁の判断は、日本側による"牽制球"ともいえる措置だ。
「この決定に慌てたのが、総連の許宗萬議長です。必死でマルナカから買い取る相手を探している最中だといいます」(公安筋)
金正恩体制は朝鮮総連を、戦闘モード口祖父の金日成主席と父の金正日総書記が育ててきた「高貴な愛国遺産」と位置づけてきた。

「北朝鮮は日朝交渉でも、拉致被害者の再調査に関する日朝合意には、総連本部の競売問題含まれるとの立場を繰り返してきた。北朝鮮にとっては事実上の"大使館"とも言える総連本部だけに、許議長としても、是が非でも立ち退きとなる事態は避けたいわけです」(全国紙記者)

先の公安筋は、「京都の商工業者など買い手は何人かいるようだが、不透明な部分が大きい」と指摘する。
こうした状況を受けて、民間による買い取りが不調に終わった場合の落としどころとして、政府内では"ウルトラC案"が浮上しているという。
「政府関係機関、あるいは政府の意を汲んだ民間企業による買い上げですよ。マルナカ側も、日本政府側から購入の打診があれば検討するとしていますからね。日本政府が購入したうえで賃貸すれば、総連は建物を継続使用できる」(官邸筋)

ただ、そもそも総連側の抱える600億円超の不良債権の回収のため、建物が競売にかけられたという経緯がある。事実上、政府が買い上げて、わずかな代金で総連側に引き続き土地・建物の使用を許可していいのかという声も少なくない。
「拉致問題の進展を見たい日本政府は、北朝鮮に初回報告を催促しているが、北朝鮮側は水面下で、総連が引き続き本部を使用できるよう求めている」(前同)

注目されている日朝交渉のカギは、総連本部ビルにあるようだ。

本日の新着記事を読む