建物受け渡し請求から強制執行まで

「基本、土・日は休みでシフト制。空いている日を前の週の金曜日までに会社の担当者にメールしておくと、だいたい、前日か前々日の夕方には集合時間と住所が送られてきます」カズキ氏に実際の仕事の様子をたっぷりと語ってもらう前に、まずは、建物明け渡し請求から強制執行までの流れを、債権者(大家)の立場から簡潔に説明しよう。

たとえば、家賃の滞納者が催促に応じなかったり、近隣のトラブルや苦情が来て退去してもらいたい住民がいるような場合、(1)借主と保証人に内容証明郵便送付(契約解除・未払い賃料の催促など)(2)反応がなければ、訴訟提起(訴状を裁判所に提出)(3)裁判所で口頭弁論(4)判決言い渡し(5)判決確定(6)強制執行申立(7)執行官との打ち合わせ(8)明け渡し催促期日の設定(9) 明け渡し催促期日における催促(10)明け渡し断行(強制執行日)(11)明け渡し完了となる。この(7)において、カギ屋の手配や荷物の搬出や保管の手配がなされるのだが、後者を担うのが強制執行業者であり、(10)の強制執行日に、執行官立ち合いのもと、大家さんがカギを開けた他人の家に入っていくのである。ちなみに(7)で出てくる執行官とは、地方裁判所下に置かれる独自の司法機関である。裁判所の命令を受けて現況調査を行ったり、(9)や(10)で現場に立ち会う裁判所職員だ。

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