現場が埼玉県でも交通費は実費負担

再び、カズキ氏の説明に耳を傾けよう。
「作業当日の朝は、起きたら、起床連絡を、集合の1時間前までに現場のリーダーにメールします。で、現場に現地集合。早いときは朝5時とかもあります。恰好ですか?汚れてもOKな黒い無地のTシャツやトレーナーに、カーゴパンツが基本。靴は自由。ゴム付きの軍手は必須ですね。タオルやマスクなんかも自分で用意しています」

カズキ氏は耳にピアスをつけているが、「作業中はピアスを外しますよ。髪を染めている人は無地のキャップを被らされます。見えなきゃいいんです。俺以外も、ほとんどが20
代~30代じゃないかな。外国人や女性と一緒になったことはありませんね」

不思議なことに、集合したら、まず、その日の給料が支払われるという。
「基本は日給8000円。作業は平均3時間ぐらいかな。でも、開始30分で終わっても、6時間でも、この金額です。ほとんど片づけられている部屋に当たった日は超ラッキー(笑)。明細書?そういえばもらってないな。手渡しで、そっと渡されますからね。どういう項目なんだろ?」

法の名の下に強制執行を断行するのに、何やら法律的にグレーな様子が垣間見えるが……。

「あ、でも、8時間近い作業になった日は、1万円でしたね。ただ、交通費は自腹なんですよ。その日は埼玉の現場だったんで、結局、手取りはいつもどおりでしたね(笑)」
カズキ氏は訪れたことがないという会社のオフィスは都内に存在(するはず)。

現場は、都内はもちろん、神奈川、千葉、埼玉の関東近郊ならば、どこへでも行く可能性があるという。
「大豪邸でもなければ、引っ越しのときに10人も業者さんが来ることはありませんよね?でも、こっちは、他の会社の人たちと合わせて30人ぐらいでダダダッと片付けますからね」

神奈川県・横浜市。その日の現場は、元は飲食店だった建物と思われる2階建ての古い民家だった。
「歩道にもゴミが溢れ返ってる家でしたね。うちの会社ではないけど、2トントラックも5台来て、土嚢とかに使われる、あの麻の袋を何百枚と渡されました」

玄関に到達するまでに軽く1時間。ドアを開けると、そこには……、「玄関から俺の身長以上に山積みにされた洋服。奥を覗くと、6畳のワンルームもすべて洋服。窓もふさがっていて、換気もできない中で3時間、5人ギュウギュウで麻の袋に詰め込みまくりましたよ」

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