なんとビールのプリン体は…

小魚に負けず劣らず「健康食品」のイメージが強い海の食品、昆布も、ミネラル成分が豊富で積極的に摂る人がいると思うが、医療ジャーナリストの牧潤二氏は意外や、こう注意する。
「昆布は海藻類の中でも、ミネラル成分の一つであるヨウ素が一番多いんです。ヨウ素を過剰摂取すると甲状腺障害のほか、体重減少、頻脈、筋力低下を招きます。甲状腺から出るホルモンは生存に重要な役割を果たしていますから、深刻な事態にもなりえます」
昆布も食べすぎはいけないということだ。

牧氏はベストセラー本も出た"粗食の勧め"に関しても注意を呼びかけるのだ。
「粗食の一番の特徴は肉食をやめることでしょう。しかし、肉は丈夫な筋肉や血管を作ります。肉を摂らないと筋肉が衰えて動けなくなり、また脳卒中を招き、早死にまっしぐら。むしろ、中高年ほど肉を積極的に摂るべきで、粗食など、とんでもないことですよ」
これは、会社帰りに同僚と、焼鳥店や焼肉店で肉をつまみつつ一杯やるのが好きな人にとっては、朗報と言えるのかもしれない。

一方、朝食では、トウモロコシや大麦などを加熱調理して薄い破片に成型した朝食用シリアルを、栄養価が高いということで摂っている人も多いのではないだろうか。
「近年、炭水化物を多く含むイモなどを焼いたり、揚げることでできるアクリルアミドという物質が、発がん性があるのではないかということで、厚労省も広報しているんです。具体的にはポテトチップス、フレンチフライが一番多いんですが、シリアルもけっこう多いんです」(前出・牧氏)
朝食用シリアルには、牛乳をかけるのが定番。その牛乳の摂りすぎは良くないことは前述した。ならばダブルのマイナス要素で、ことさら朝食用シリアルを積極的に摂る必要はないのかもしれない。

牧氏は、我々が日常の食事作りで、なにげなく使っている食用油に関しても、こうアドバイスする。
「値段が安いので、ほとんどの家庭ではサラダ油を使っていると思います。サラダ油が悪いわけではありませんが、サラダ油を含めたn-6系という、ほとんどの食用油が属する種類に比べ、n-9系のオリーブ油は抗酸化成分が多い。結果、動脈硬化を防ぎ、心筋梗塞や脳卒中などのリスクを下げてくれます」
ところで、最近は従来からの嗜好品に、健康にいい要素を付随して発売するケースが目立つ。プリン体ゼロのビールなど、その典型例だろう。
ビールは飲みたいが、プリン体は体内で尿酸に変わり、尿酸は関節で結晶化して神経を傷つけ、痛風を引き起こしてしまう。だから、ビールを飲むのを躊躇してしまう。

だが、プリン体ゼロなら、その心配もないからガブガブ飲めると思われるが、
「そんなことは、プリン体ゼロのビール発売会社はひと言も言ってません。缶ビール1本に含まれているプリン体は、12~25ミリグラム。これに対し白米は26ミリグラム、大正エビは273ミリグラム、豚のレバーは285ミリグラム、鶏のレバーは312ミリグラム(各100グラム中)といった具合に、ビールよりプリン体を多く含む食品は多い。プリン体ゼロのビールを飲んでいたら痛風にならない、痛風が治る、というものではありません」
こう指摘するのは、『ビタミンCは人類を救う!!』(学研パブリッシング)などの著書もあるサイエンスライター・川口友万氏だ。

同じく缶ビール、コーラーなど「カロリーゼロ」をうた謳った各種ドリンクに関しても、川口氏はこう危険性を語る。
「カロリーゼロのドリンクには、おいしくするための合成甘味料が入っています。しかし、実際はカロリーはないため、飲むと体は飢餓状態に。すると膵臓は、とにもかくにも脂肪を蓄積しようと、インスリンを通常の6倍も出す。結果的に食事の量が増え、肥満になりやすく、糖尿病のリスクが高まるんです。また、脳神経の代謝に異常を起こし、うつ病を引き起こすリスクもあります。さらに合成甘味料の中には脳神経にダメージを与えたり、死亡率を高めるものもあるとの報告もあります」

同じく最近は、「血圧が高め」「コレステロールが高め」「血糖値が気になる」といった人に向け、「食後の中性脂肪を抑える」「体脂肪がつきにくい」などの効果を謳ったトクホ(特定保健用食品)の商品が、薬局だけでなくスーパーにも置かれ、かなり高めの価格設定にもかかわらず売れている。
この"トクホ"とは、ある一定の科学的根拠を有することが認められたものについて、消費者庁長官の許可を得て、特定の保健の用途に適する旨を表示した食品のことを指す。

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