好調狙い馬予想 薮中泰人
Bエンブレム親子GⅠ制覇だ


今年からGⅠ朝日杯FSは阪神で行われる。
トリッキーな中山から、外回りコースで直線が470メートルを超える舞台へと替わるのだ。内枠有利は昨年までの話。阪神JFの歴史が示すように阪神マイルは、はっきり力勝負の舞台。枠順の有利不利はもう考えなくていい。

さて、登録馬も29頭と多いが、今年は素質馬も目白押し。なかでも、V候補の筆頭は関東馬のブライトエンブレムだ。デビュー勝ちのあと札幌2歳Sも制したエリートホース。11月21日に栗東に入厩し、3連勝で2歳チャンプの座を狙っている。
栗東での仕上げはお手の物だ。所属する小島茂厩舎は08年の秋華賞をブラックエンブレム、09年のエリザベス女王杯をクィーンスプマンテで勝っているが、当時も栗東に入厩しての仕上げだった。坂路に、逍遥馬道も有効利用、栗東での仕上げノウハウをつかんでいる。今回は帯同馬4頭で栗東に乗り込んできたから力の入りようがわかる。

ブライトも負荷のかかる坂路調教が主体。入厩3日後の24日に57秒7を計時は、美浦で下地を作ってきた証拠で、27日に57秒5、30日はCWで59秒1、12月に入って3日には併走で55秒4の時計が出た。レース2週前時点でこの乗り込み量である。体に緩さがないし、アカ抜けした馬体。
スタートは速くないが、それを補って余りある決め手の持ち主。阪神外回りコースはピッタリ合うイメージだ。母ブラックエンブレムとの親子GⅠ制覇はかなりの確率で実現する。

ライバル勢も多い。ダノンプラチナ、ネオルミエールの関東勢も怖いが、栗東所属馬で探せば一番手はクラリティスカイだ。新設重賞、いちょうSをレコード勝ち。その後はここに目標を絞っての仕上げ。11月24日の坂路57秒2の初時計のあと、1週2本の時計を坂路、コースでマークした。

とりわけ好感を覚えたのは12月4日のCW追い。6F82秒8とハードな併走追い。古馬相手に食い下がった。前走時より締まりが出て、さらにシャープになった体つき。決め手強化につながることだろう。

デイリー杯を使った組では勝ったタガノエスプレッソはレース巧者だが、展開に恵まれた面があった。むしろ2着のアッシュゴールドに上積みを感じる。オルフェーヴルの全弟らしい成長曲線を描いている。

3着に終わったナヴィオンもまだ軽視はできない。内枠がアダになり、後手後手に回る競馬。直線で巻き返してきた点に底力を感じさせた。


(日刊ゲンダイ大阪記者)

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