地球といえば、水の惑星。海水を含む約14億km3の水により表面の約70%が覆われている。ご存知の通り、水がなければ生命は誕生していないし、進化も生き続けることもできない。万物の源とは、まさにこのことだろう。

さて、その水だが、どこから地球にもたらされたのだろうか。それを示すのが、12月10日に欧州の研究チームが米科学誌サイエンスに発表した研究論文。なんと「地球に存在する水は数十億年前に地球に衝突した小惑星に由来する可能性が、彗星由来の可能性よりも高い」というのだ。つまり、地球に水をもたらしたのは、小惑星かもというわけ。

気になる根拠だが……欧州宇宙機関の実験用着陸機「フィエラ」は11月、アヒルに似た形状の彗星「67P/チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星」で人類初の着陸調査を実施。67Pに存在する水や他の気体の調査・観測を進めたところ、水の特性は地球上のそれと大きく異なると判明。むしろ小惑星に含まれる水のほうが地球上の水に近いことから、「水=小惑星由来説」が強化されたということだ。我々の生活に欠かせないものが、遠い宇宙からやってきたとなれば、なんともロマンのあるトピックではないだろうか。

ちなみにその67Pだが、他に面白い調査結果も。なんとこの彗星からはアンモニア、メタン、硫化水素、シアン化水素、ホルムアルデヒドなどが検出されたのだ。これについて、フィエラの母船である彗星周回探査機「ロゼッタ」の質量分析計「ロジーナ」で主任研究員を務める、キャスリン・アルトウェッグ氏は「腐った卵(硫化硫黄)、馬小屋(アンモニア)、鼻を刺激する臭い(ホルムアルデヒド)、アーモンド臭(シアン化水素)」と述べ、アルコールと二酸化硫黄による酢のような匂い、二硫化炭素の甘い香りも若干あるとのこと。これが「彗星の芳香」だという。う~ん、なんとも複雑怪奇なスメルではないだろうか。

ならば、太古の地球には数多くの彗星が衝突したといわれるのだから、その頃は臭かったのかもしれない。当時、どんな生物がいたのかは伺い知れないが、きっとその臭いには悩まされていたのだろう。

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