「健康でありたい」との万人の願いが予想もしない事態を招きつつある……
「お薬大国」日本の真実が明らかに!


風邪をひいて熱っぽい、健康診断で「異常あり」と診断された……。そうした際、多くの人は医師の診察を受け、薬を飲むことだろう。
日本薬剤師会による65歳以上の高齢者が対象の2010年の調査で、61.6%の人が「5剤以上の処方薬を併用中」と回答するなど、日本は世界屈指の薬大国となっている。しかし、その影には意外なカラクリが潜んでいるという。
「医師、製薬会社と厚生労働省の三者が一体となって、患者を増やそうとしているんです。人口減少が始まったわが国ですが、実は毎年、医師の数は増えています。そうすると、医師たちが生活レベルを保つためには、患者を増やす必要がある。製薬会社も薬の売り上げを伸ばしたいし、厚労省も、医療費の削減を言いながらも、患者数を増やそうとする。自らの権力を縮小しようとする官僚組織はありませんからね」

このようにショッキングな指摘をするのは「近藤誠がん研究所・セカンドオピニオン外来」(東京都渋谷区)を主宰する近藤誠医師だ。
著書『がん治療で殺されない七つの秘訣』(文藝春秋)などを通じて、患者側に立ち、わが国のがん治療の現状に大きな一石を投じたことで知られる近藤氏は、医療界の"薬漬け体質"に警鐘を鳴らす。
「通常なら需要が先にあるところ、医療業界だけは逆に、供給が需要を作り出しているんです。多すぎる医師が、患者たちを生んでいる。"あなたは病気だ"と診断すればいいんですから。たとえばメーカーが"新しいお菓子作りました""新しい服作りました"と言っても、消費者はなかなか買ってくれません。しかし、医療業界の場合"この新薬、効きますよ"と言えば、患者は喜んで飲む。そのように、無駄な薬を多く与えているんです」


上の表は、2013年度の日本国内での医療用医薬品売り上げベスト10。改めて医薬品業界の規模の大きさに驚くが、この中で最も世間を騒がせたのは、2位のディオバンだろう。
脳卒中や狭心症を防ぐ効果が他の降圧剤より優れているということで、昨年度だけで1000億円近く売り上げたが、その臨床データが不正に操作されていたことが発覚。
発売元であるノバルティスファーマの元社員が関与して試験結果を捏造した疑いがあり、元社員は14年6月に逮捕。翌月には法人としての同社も起訴されている。
「脳卒中などのリスクを下げる分、他の降圧剤より薬価が高かった。安い降圧剤に比べ、薬価が10倍になるケースもあります。その臨床データが偽りだったんですから、患者にすれば、まさに詐欺に近い話です」(医療ジャーナリスト・牧潤二氏)
売り上げトップ10の薬の中には、死亡事故が起きている薬もある。

胃潰瘍の薬で「寝たきり」に!?

「8位のアバスチンは進行性の大腸がんや肺がんに用いられますが、副作用として血小板が減り内出血しやすくなる。ところが発売時、この副作用の注意書きがなく、2人の死亡が明らかになった昨年末、ようやく副作用欄に加えられました。10位のアリセプトも腎不全、肺炎などを併発した死亡事故が起きています。この2つは国内メーカーが開発したものですが、アリセプトは米国での臨床試験で多数の患者が死亡したとの情報もあります」(厚労省詰め記者)

インフルエンザの特効薬として01年から、わが国で保険適用になったタミフルのケースも記憶に新しい。
05~07年頃、服用した子供の異常行動死が相次ぎ、騒動になった。
「タミフルを服用すると、発熱日数が1日半減ることがわかっています。しかし、服用した人としなかった人では、インフルエンザが重症化して肺炎で入院する割合に差はありません。したがって、体力のある人にタミフルは必要ありません」
こう解説するのは、新潟大学名誉教授(医学博士)の岡田正彦氏。
同氏は、「無駄で危険な医療+治療45」シリーズの第2弾として12月19日に発売される書籍『病院の処方薬はこんなに危ない! ダマされないための完全お薬ガイド2015』(双葉社)で、前出の近藤氏と同じく、「危険な薬」について証言している。

岡田氏は、他にも「危険な薬」の具体例を挙げる。
「胃潰瘍の代表的な薬であるPPI(※表9位のタケプロンもその一種)は確かによく効きます。しかし、注意書きには『7日以内、または8週間以内の使用に限る』(病気によって異なる)と明記されています。というのは、このPPI、長期服用すると体内のカルシウムが溶け出し、骨粗しょう症になって骨折のリスクが高まるからです。それにもかかわらず、長期にわたって処方されるケースは珍しくありません」
高齢者の場合、骨折から寝たきり、というコースをたどりかねない。
「糖尿病薬に関しても疑問があります。まず食事や運動の指導をして、効果が見られなくて初めて薬を出すべきところ、いきなり処方するケースが珍しくない。しかも食欲がなく、食事の量が減っているのに薬を飲むと、血糖値を下げすぎ、死亡率が高まることがわかっています」(岡田氏)

前出の牧氏は、近年、活況を呈する心療内科における抗精神病薬の処方に疑問を呈する。
「カウンセリングが重要なのに安易に薬を処方する。それも海外では1、2種類しか出さないのに、わが国では7つも8つも出す。これでは、かえって症状を悪化させますよ。しかも、死亡率が高まることもわかっているんです」
なぜ、そこまでして「危険な薬」を処方するのか?
牧氏は、こう見る。
「製薬会社からの仕入れの値段と、患者に販売する際の差益である薬価差益は、現在では平均5%ほどで、昔のように大きくない。しかし、儲かることに変わりはなく処方箋料も入る。薬を処方すればするほど、より儲かるわけです」
一方、岡田氏はこう指摘する。
「大学病院や研究機関には寄付金として、また、医師個人には講演会や学会を通じて製薬会社から有形、無形の支援がなされています。そのようなしがらみがあれば、薬の悪口は言えないし"まあ使ってみようか"となっても不思議ではありません」

インフルエンザでも薬は不要

近藤氏は、わが国の薬漬けの現状は世界的にも極めて特異だと語る。
「日本は世界一の長寿国と言われますが、"不健康寿命"も世界一です。平均寿命から、ボケず、介護にも世話にならずに健康で過ごせる"健康寿命"を引いた期間が世界一長い。これはつまり、薬漬け、治療漬けであることの証明ですよ」
そして、オランダやイギリスのケースを挙げる。
「向こうでは風邪で受診しても、医師は薬を出しません。インフルエンザでも、薬を飲まなければ1~2日で治る。私自身、この数十年、風邪やインフルエンザで診療を休んだことはありませんよ。熱が出るのは、体内の白血球がウイルスと戦っているからで、高熱でウイルスが死ぬんです。ところが、日本では薬で熱を下げようとする。すると、逆に長引いて、自己免疫力も衰えます。薬に依存する患者側にも問題があるんですね」(前同)

さらに、我々の命を守るはずの健康診断についても警告する。
「健康診断は、医師が患者を釣り上げるための"釣り堀"ですよ。"早期発見、早期治療"の名のもとに、人間ドックや会社の健康診断が行われていますが、これは健康な人を"異常な値が出た"と言って釣り上げ、治療漬けにするようなもの。釣り堀なら魚を池に戻しますが、健康診断で一度釣り上げられたら、死ぬまで薬漬け、治療漬けにされる可能性があるんです」

日本は男女の平均寿命の差が6歳以上ある。実は世界的に見て、これほど男女で寿命に差がある国はないという。
「男性が職場での健康診断を義務付けられているから寿命が短いのでは、と推測しています」(近藤氏)
そうなると我々には、どのような方策が残されているのだろうか?
「何より、よほど苦しくなければ病院に行かないことです。そうすれば、薬を処方されることもない。それから健康診断も受けない。職場などで、どうしても受けなくてはいけない場合、検査項目をなるべく減らしましょう。特に放射線を使う検査、レントゲンやCTスキャンなどは、発がんのリスクを高めるので止めることです」(近藤氏)
口に苦い、どころか「危険な薬」の数々……。最後は、我々自身が認識を改めるしかないようだ。

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