2 三上朋也(25歳)投手/DeNA
ルーキーらしからぬ度胸で"ハマの守護神"に大抜擢!!

4月2日、横浜スタジアム。巨人を相手に2点リードした6回表の場面で、DeNAの中畑清監督は新人の三上朋也投手をマウンドに送り出す。しかし、三上は緊張からか制球が定まらない。2四球と1死球で瞬く間にノーアウト満塁のピンチ。迎えるは高橋由伸。
この絶体絶命のシーンでもボールが先行。誰もが押し出しを想像したが、ここで三上は踏ん張りを見せる。ストライクを3つ続けて、高橋を見逃し三振に討ち取り、続く長野久義をダブルプレーに仕留めて、自ら招いたピンチを帳消しにしてしまう。

このときの「ルーキーらしからぬ」マウンドさばきを見た中畑監督は、三上を"ハマの守護神"に抜擢することを決め、4月29日の中日戦から実行に移す。
彼自身にとって、抑えは初めての経験だったが、中畑監督は「怖いもの知らずの新人に賭けてみようと」と決断したのだ。
結果から言えば、この抜擢は大成功。DeNAの勝ちパターンが完成し、チームに安定感が出てきた。万年最下位争いのチームが、Aクラス争いに加わるようになったのは、三上の活躍によるところが大きい。
9月16日の時点で57試合に登板し、1勝3敗19S、防御率1.82。特に巨人にはめっぽう強く、11試合を投げて失点0。今年のDeNAが、かつての"横浜銀行"の立場を脱却し、巨人を苦しめている要因は、三上を抜きにしては語れない。

そんな大物ルーキーだが、実は彼の持ち球はストレートとスライダーのみ。多彩な変化球を持つ投手が有利と言われる現代野球では珍しいタイプだが、それが、かえって相手を戸惑わせているという。
「ストレートは3種類あり、スライダーも、落ちるのと、横に滑るのを持っていて、打者を惑わせています」(球界関係者)。
普段はサイドスローだが、時折、ストレートをオーバースローで投げるため、ペナントレースも終盤に入り、球種を狙われるようになったというが、今後、新たな球種を習得すれば、三上は二代目"大魔神"に就任できるかもしれない。

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