中国外務省から流出したという『2050年の国家戦略』地図が、ネット上で話題になっている――。

驚くべきことに『国家戦略』地図によれば、台湾はおろか、朝鮮半島、そして日本までもが中国の領土になっているのだ。朝鮮半島は「朝鮮省」、日本は愛知・石川県以西を「東海省」、静岡・富山県以東を「日本自治区」という行政区分になっている。なお、「東海省」の「東海」は中国の東シナ海の呼称だ。

にわかには信じがたいが、これまでも中国といえば、チベットはじめ、ウイグル、モンゴルなどアジア地域を武力で実効支配。国名が示すように、中華思想「世界の中心」を体現し、手段を選ばず領土を拡大している。
その拡大は海洋にも及び、中国は第一列島線(日本列島、台湾、フィリピンを結ぶライン)の内側を国防の聖域として、海洋進出戦略を活発化させ、第二列島線(小笠原諸島、グアム・サイパン、ニューギニアを結ぶライン)までの制海権の確保を念頭に置いてきた。
「80年代には劉華清(りゅうかせい)・海軍総司令が『中国の経済、科学技術が発展すれば、海軍力もさらに大きくなる』と海軍の近代化を主張し、長期的計画も打ち出しました。

その計画とは、10年までに第一列島線内部の制海権を握って、東シナ海、南シナ海を中国の内海とし、20年までに第二列島線内部の西大西洋の制海権を確保。40年までには太平洋、インド洋において、米海軍と制海権を競い合うというものです」(永山英樹・台湾研究フォーラム会長)

そして、50年には全世界規模の海上権力を握るというのだから、壮大だ。

「現実に、この計画を進めていて、08年にキーティング米太平洋軍司令官に、中国軍幹部が『太平洋のハワイから東部を米国が、西部を中国が取るというのはどうか』との提案を持ちかけています」(前同)

胡錦濤(こきんとう)国家主席(当時)は06年、海軍幹部との会議で「中国は海洋大国である」と宣言。「海洋権益を擁護するために強力な海軍が必要だ」と述べたほどだ。
「現在も新空母2隻を建造中。既存の3艦隊に加え、新たに1機動艦隊を新設する計画です」(国際外交アナリスト・井野誠一氏)
つまり、『国家戦略』地図は、中国の海洋大国化の野望を裏付けるものなのだ。

現実に気になる動きもある。尖閣諸島をめぐる中国の動きが、次の段階に進んだと見られているのだ。
「尖閣周辺では中国政府の監視船による領海侵入が減少し、代わりに中国漁船の侵入が激増。海上保安庁によると、尖閣領海に入って退去させられる中国漁船は今年1~9月だけで208隻。昨年1年間の2・4倍、11年の26倍にも上ります」(全国紙社会部記者)

中国漁船の領海侵入への常態化による既成事実化。
そして、今後、漁民に見せかけた武装民兵が登場し、実効支配に乗り出す……南シナ海の領有権問題で実際に中国が行った戦術だ。
尖閣諸島の次は沖縄、そして、日本列島そのものが狙われているのだ。

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