一見わからない「ヤクザ隠語」

暴力団捜査は一般市民が思い描いていたものよりも相当、地味のようだ。

とはいえ、その概要がボヤッと見えてきたところで、ベテランマル暴刑事の兼田氏(仮名)に、直接その捜査ノートについて聞いてみた。
「捜査ノートにはいろんなことを書き記しているが、車のナンバーだったり、(暴力団組織に利益供与した可能性のある)民間業者を割り出すための電話番号や模様など、他人が見たらワケのわからないものばかりかもしれない」
じゃあ、最悪、落として誰かに見られても大丈夫ということ?

「いや、そういうことではない。ノートや手帳に組織図のほか、捜査対象の組織組員の住所や車のナンバーを一覧表にまとめている捜査員は多い。それに、捜査の際に相手方の車両と混同しないように、警察車両のナンバーを書いておくこともある。それが流出すれば、捜査に支障をきたすことにもなりかねないから、警戒が必要だ」(前同)

なるほど、確かに、その重要性は一般人でも理解できる。ところで、スケジュール帳みたいなものってやっぱりあるのか?
「もちろん。エス(スパイ)と接触する予定から、事前情報として入手した組行事まで、メモしておかないと忘れてしまうからね。ちなみに、盃直しや2次組織以下の事始めなどは縁起を担いで"大安"の日に行うことが一般的だから、大安の日は常に空けておかなければいけない。友達や親戚の結婚式にはまず出席できないね(苦笑)」(同)

でも、〈○月○日□△組盃直し〉などと書かれている手帳って、一般人から見れば怖い限りです。
「いやいや、組織名をそのまま書くことはまずない。たとえば、山口組だったら『菱』や『神戸』、山健組だったら『花隈』、拳銃だったら『道具』などヤクザ用語を使うようにしているから、警察や暴力団関係者が見たら一発で気づくけど、一般の人が見たら、まったく理解できないかもしれない」

撮影こそ許可が下りなかったものの、捜査ノートの一部を見せてもらうと、とんでもない情報が……。ここでは書けないですけど、○○組の最高幹部が間もなく逮捕されるみたいですよ!

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