最後は相続財産を減らす方法だ。唯一の相続財産である「親の住まいを見直す」ことを考えたい。そうすることで、そもそも相続税を気にする必要もなくなるかもしれない。

子どもが独立して、部屋の数も多く、階段の上り下りも面倒な戸建住宅よりも、マンションへの転居を促すことや、将来的な同居のために二世帯住宅にリフォームをするという話を、よく聞くことがある。

「マンションのほうが立地がよく、バリアフリー化が進んでいるので、マンションに住んでみたら快適だったという親世代の感想は、よく聞きます。そしてマンションの場合は1戸当たりの土地の持ち分が小さくなり、評価額は購入価格より割安になるので、相続財産を減らすことができるというわけです」(前出・ファイナンシャルプランナー)

ただし、最近のマンションは再開発エリアに建設される場合が多く、土地の評価額が上がってしまう可能性があることには注意が必要だ。

「そして、将来的な同居のためにリフォームをする手法は、親が暮らしやすいように、バリアフリー化するとともに、別居している場合は"小規模宅地の特例"を確実に利用できる要件を満たしておく準備として、行う場合が多いですね」(前同)

また、親に預貯金の余裕がある場合には、生前贈与(暦年贈与)を利用しておきたい。
なぜなら毎年の贈与の基礎控除額は110万円。そこまでは贈与税がかからないのだ(贈与税は贈与を受けた側に税金がかかる)。
つまり、親は毎年、法定相続人それぞれに110万円まで、税金がかからずに贈与することができる。

「毎年110万円の贈与までは、税務署に申告しなくていいとされています。しかし、相続の際に、税務署は親(被相続人)の銀行口座の資金の流れを最大10年間、チェックしているといいます。不自然な動きがあれば、贈与として認められない恐れもありますので、あえて110万円超の贈与をして、あらかじめ税務署に申告をしていく方法も増えつつあります。お墨付きを得ておくという方法ですね」(同)

親が亡くなってからでは、対策は遅すぎるのだ!?

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