マッサージはやりすぎ注意!

さて、近頃は"1日3分で病気が治る""○○をやれば3日で治る"といったタイトルの健康本が出回っているが、これにも疑問点が多いようだ。
こうしたタイトルの著書を14年春に出版した医師が、匿名を条件に明かす。
「本に書いたように、科学的な根拠もマウスの実験などで証明され、私の指導で病気がウソのように治った患者もいるんです。その意味で決してウソではないんですが、タイトルを見れば、どんな人でも治るかのように誤解されるんですよね」
読者は年齢も体質もさまざま。当然、万人に効くわけはないのだ。
「出版社に"あまりタイトルにしてほしくない"と言ったんですが、"これぐらいでないと読者に手に取ってもらえない"と押し切られたんです。確かにそんな面もあるだろうと思い、OKしましたが……」(前同)

こんな本の健康法を実践しても、「1日3分」では無理だったり、3日で治らない人も出てくる。これで長続きせずに、やめてしまうケースも多いようだ。健康本といえば、"ふくらはぎ揉み"や"足指揉み""腹へこまし"など、手軽にできる健康体操やマッサージを解説したものも話題になった。
「こうした健康体操やマッサージは、"やって気持ちがいい"程度にすれば問題ないんですが、マジメな人ほど一生懸命やりすぎて、逆効果になることがあるんです」
こう話すのは、医療ジャーナリストの黒木要さん。

たとえば、ふくらはぎには大きな静脈があり、血栓ができやすい。強くふくらはぎを揉みすぎると、この血栓が剥がれて心臓や肺に至り、いわゆるエコノミー症候群を発症することもあるという。
また、"体温を上げると病気にならない"という健康法も話題だった。

ところが、必ずしも一概には言えないようだ。
漢方医学に詳しい田村哲彦氏(薬学博士)の説明を聞こう。
「漢方医学では、基本的に体を温めるように指導しますが、人によっては体温が十分高く、温めすぎると、のぼせて具合が悪くなる場合があるんです」
テレビの健康番組などでは、タマネギ、ゴボウ、納豆、ヨーグルトなど、さまざまな食品が健康に良いと紹介されているが……。
「ヨーグルトは腸内細菌を増やし、免疫力をアップさせるということでもてはやされましたが、冷え性の人が"体にいいから"とヨーグルトを食べ過ぎれば、マイナスに働くこともありえます」(前同)

食べ物には、その人に"合う・合わない"もある。
「ニンニクも、現代科学でもその食効を認める食品ですが、胃が弱い人が生で食べると、胃が荒れて逆効果になります」(健康誌記者)
まずは自分の体質を把握することが重要だ。

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