昨年12月のこと。アメリカのオンライン科学誌『プロスワン』にて、あるカエルの習性について発表されたのだが、これが今までの常識を覆すものだった。

カエルはタマゴからオタマジャクシ、そしてカエル……という流れで成長していく。

しかしカリフォルニア大学バークレー校の爬虫類学者、ジム・マクガイア氏がインドネシア北部スラウェシ島の熱帯雨林を探索中に、1匹のカエルを捕獲。これが雌で、生まれたばかりのオタマジャクシを十数匹連れており、従来のオタマジャクシを産むという説を裏付ける証拠となった。

10年前にインドネシアで発見されていたこのカエル(学名:Limnonectes larvaepartus)は、当時から直接オタマジャクシを産むといわれていたのだが、直接それが観察されることもなく確証もないままだった。

今回発見されたカエルは体内受精を進化させた10〜12種しかいないカエルの仲間で、そのなかでも子ガエルや受精卵ではなく、オタマジャクシを産む唯一の種であり、世紀の発見だったのだ。

さて、このカエルのように、実はカエルの出産・子育ては多種多様だったりする。
たとえば、南米に生息するピパピパ(別名はコモリガエル)。背中の皮膚組織に卵を産みつけ、孵化させるのだが、卵から直接カエルの姿で生まれてくるのだ。つまり、オタマジャクシの期間がない。
また、ヤドクガエルの仲間には背中にオタマジャクシを乗せて発育に適した水たまりを探して運ぶ習性がある。これは産む卵の数が少ないので、子孫を残すための本能だろうか。
さらに、ダーウィンハナガエルは雄が鳴嚢(めいのう=鳴く時に膨れる部分)の中でオタマジャクシを育てたりもする。雄の皮膚から栄養を吸収しながら成長。カエルになると雄の口から出てくるのだ。
そして、もう一種、親の体内で育つのがイブクロコモリガエル。雌が自分の受精卵を飲み込み、孵化したオタマジャクシを胃の中でカエルになるまで育てるのだ。残念ながら約10年前に絶滅してしまったそうだが……。

と、並べるとカエルはずいぶん多様な繁殖方法を持っていることに気づく。直接カエルを産むカエルは不思議ではあるけど、そんなにすごいことじゃないように思えてきた……。


ピパピパの出産映像。食事中の方はやや注意

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