"元祖マシンガントーク"と"浪速のみのもんた"――。司会者の頂点を狙う両雄に不穏な動き。風雲急なり!

 大勃発現在、キャスター界の最前線にいるのは、古舘伊知郎(60)と宮根誠司(51)の二人と断言していいだろう。

「古舘さんは夜の報道番組『報道ステーション』(テレビ朝日系)の顔として、片や宮根さんは、お昼の情報番組『ミヤネ屋』(読売テレビ系)の看板として、月から金曜日まで、二人は日本のテレビの中心に、どっしりと腰を下ろしています」

と民放局プロデューサーは語るのだが、彼はさらに、こう続けるのだ。

「そんな両雄の覇権争いですからね。これは一大事ですよ……」

 この不穏な覇権争いの真相に迫る前に、両者のこれまでに触れたい。

 テレ朝の局アナとして、看板番組『ワールドプロレスリング』の実況などで活躍した古舘は、1984年に局を退社し、フリーに。

「退社後はフジテレビのF1の実況、NHKの『紅白歌合戦』の総合司会など大きな仕事を次々と務め、04年から『報ステ』のメインキャスターに就任し、現在に至ります」(芸能記者)

一方の宮根は04年に大阪の朝日放送を退社。06年に始まった『情報ライブミヤネ屋』は、"浪速のみのもんた"とも称される彼の軽妙なトーク術と野次馬的ノリで、主婦層の視聴者をガッチリとつかんだ。

「放送当初は関西ローカルだった番組は徐々に放送局を増やし、08年には東京進出。ついに全国ネットの番組になりました。宮根自身も10年開始の『Mr.サンデー』(フジテレビ系)で、本格全国デビューを果たしています」(前同)

 古舘、宮根の両者とも、自らの実力で現在の地位まで這い上がってきたのだ。

 評論家の小沢遼子氏は、古舘をこう評価する。

「夜の報道番組はワケ知り顔のおじさんがどこにでも出てきて、与党をヨイショするコメントばかりして、まったく面白くないんですよ。そんな中、古館さんは口を尖がらせて、ムキになって文句を言ったり、正義感で発言したり、そこが魅力だと思いますね」

 片や宮根について、放送評論家の小松克彦氏は、

「彼は"大阪のおばちゃん目線"を持っていて、おばちゃんが面白いと思うものだったら何でもやる。御嶽山が噴火したらスタッフを現地に張りつかせたり、北海道の陸別町がマイナス30度で日本一寒いというなら、レポーターを裸にして雪原を走らせたり。面白くて理解しやすいニュースをやっていますね」

と分析する。

 そんな二人は昨年末の総選挙特番でも"激突"。

「古舘は報ステが中心で組まれたテレ朝の選挙特番に、宮根はフジの顔として出演しました」(構成作家)

 視聴率はテレ朝が11.6%、フジが6.9%と、数字の上では古舘の圧勝と言える。しかし、制作会社ディレクターはこう言うのだ。

「テレ朝は、その日に行われた『フィギュアスケートグランプリファイナル』の生映像を選挙速報にはさむ形で放送したんです。だから、"視聴者のほとんどは羽生結弦くん目当てだった"と、もっぱらでしたね」

 要するに、先の選挙特番での古舘と宮根の対決は、真っ向から組み合ったものではないということなのだ。

 だが、このフィギュアスケートを絡めるという異例の選挙特番で、大きな"亀裂"が生じたという。全国紙政治部記者が語る。

「今回の内容に古舘がブチ切れたと言うんです。正面から選挙報道に取り組みたかった彼としては、テレ朝のあからさまな視聴率狙いに、我慢がならなかったそうです」

 今回、爆発したという古舘の怒りの火種は、すでに以前からあったという。前出の政治部記者は、「大きな要因は、昨夏頃から露見しだしたテレ朝の『報ステ』への対応です」と言う。

 代表的なのが、8月5日に、テレ朝の筆頭株主である朝日新聞で掲載され、日本中に大きな波紋を生んだ従軍慰安婦問題の検証記事への追及報道でのことだ。

「実は、"親会社"の意向を汲む局上層部から『報ステ』にプレッシャーがかかったというんです。結局、同特集の放送は記事掲載の1か月以上もあとになり、内容面も深く踏み込めない、非常に中途半端なものになりました」(前同)

 その後、『報ステ』では原発再稼働に関しての誤報道問題も発生したのだが、そこでも、局と番組でひと悶着があったという。

 9月10日、番組は九州電力・川内(せんだい)原発の再稼働を巡る放送で原子力規制委員会の田中俊一委員長の発言内容を誤って編集し、視聴者に誤解を生む放送を行った。原子力規制庁から抗議を受け、2日後に古舘が番組内で謝罪したのだが、

「この問題は、BPO(放送倫理・番組向上機構)で審議入りされたんですが、通常は視聴者が問題視して審議が検討されるところを、テレ朝自らがBPOに持ち込んだというんです。これには、番組スタッフから"身内に刺された!"と声が上がったといいます」(前同)

  1. 1
  2. 2