反安倍勢力が強固なスクラム

さらに、森元首相と安倍首相の間には看過できない"因縁"がある。ポスト小泉の後任人事の際に、森氏は福田康夫氏を推し、同派幹部で出馬を表明していた安倍氏に翻意を迫ったのだ。

また、12年の総裁選時も、町村派分裂回避のためとして、安倍氏に出馬を断念するよう迫った。
「ところが、森さんの要請を安倍さんはことごとく拒否してきました。森さんにとっては、安倍さんはかわいくない存在そのものです。ですので、安倍さんのライバルである石破さんが自分に歩み寄ってきた今、森さんは"敵の敵は味方"という戦場の論理をそのままに、石破氏支持で蠢き出したんです」(自民党番記者)

すでに、水面下では石破氏と長老派はガッチリ握手。一方の安倍首相は"恩人"からも見放されつつある。
「前回の総裁選で、結果的に総裁を決めるキーマンになったのが石原派を率いる石原伸晃氏。同派は石原氏の指示で、最終決戦で安倍氏に投票しました。これが安倍政権誕生の決め手となったのは周知の事実。この恩義も忘れ、13年9月の内閣改造で安倍さんは石原派を徹底的に排除。この恨みもあり、現在、石原派の半数以上は反安倍勢力です。石破さんが反旗を翻した場合、石原派の面々がどちらにつくかは火を見るより明らかですね」(前同)

このように反安倍の機運が高まってくると、石破氏の勝算も十分に見えてくる。前出の鈴木氏が、渦中の石破氏の心中を解説する。
「昨年9月の内閣改造直後に、石破氏とお会いしたとき、彼は100%首相を目指す腹でいると直感しました。現在、音なしの構えに見える石破氏ですが、9月決起の決意だけは微塵も揺らいでいないと思います」

石破氏は、昨年末の総選挙の際、安倍首相の掲げる"景気回復、この道しかない"というキャッチフレーズを無視して、石破氏自身が命名した"地方創生選挙"一点張りの選挙応援演説に終始していたという。
「安倍首相への対抗心が剥き出しでしたね。同時に、いつの日か、国のトップとして地方再生に全力を尽くすとの決意もありありと感じられました」(前同)

9月の総裁選までの200日間――安倍政権に激震が走るやもしれない。

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