人生の最期を締めくくるための活動――"終活(しゅうかつ)"が今、ブームになっている。
というのも、「葬式には金がかかりすぎる」「妻から一緒の墓に入りたくないと言われて困っている」など、葬式や墓についてトラブルが急増しているからだ。
そこで、そうならないように生前から準備をし、有意義な最期を迎えようというのが"終活"の考え方。
さらに、家族の不慮の死で、いつ、自身が喪主を務めるともわからない。いざという時に、揉めたり、損をしたりしないための「裏ワザ」を一挙、紹介しよう。



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故人の死後、真っ先に直面する問題が葬式の手配だが、突然の事態で慌てがちなだけにトラブルも多い。

終活・葬儀・老い支度相談所『明石コンサルティング』代表の明石久美さんによると、葬儀に関するトラブルで最も多いのは、やはり金銭面。特に、見積もり額と実際の請求額が違うという、遺族側の不満が目立つという。
「まず、遺族側が肉親の死に動揺し、葬儀会社の説明をきちんと聞ける精神状態にないという事情があります。もう1つは、よくわからないことを急いで行わなければならないためです。私が見積もりの現場に立ち会った経験から言っても、見積もり時に葬儀会社がはっきり説明していたことを、遺族側が後になって、覚えていなかったり、思い違いをしていたりすることもあります」(明石代表)

確かに、親族が亡くなったばかりで動揺している最中に、いろいろ説明されても、いちいち覚えていられない。逆に、そんな遺族の動揺につけ込む業者もいるから要注意だ。

「そうならないため、事前にいくつかタイプの違う葬儀会社に、いざという時にはこういう葬儀をしたいからと、見積もりをもらっておくことが大事です。見積もりを取るだけなら無料です。最近はそういう人が増えていますし、見積もりを取ったからといって、その業者に頼む必要もありません。むしろ、葬儀会社の話を聞いていると、その業者がいい葬儀社かどうかわかってくるものです」(前同)

最近はインターネットで葬儀会社を探す人が増えているが、問題は、いい葬儀会社を見極めるポイント。
明石代表は、こう助言する。
「いい葬儀会社というのは、遺族側のニーズをできるだけ葬儀に反映させようという姿勢を見せてくれるところ。たとえば、"こういう内容にしたほうが故人の供養になります"との説明を事前に受ければ、あとから、ああしておけば良かったなどと、後悔せずにすみます。また、"こちらのほうが費用が抑えられます"など、様々なプランを提案してくる業者は信用できるでしょう」

次に、事前に必ず準備しておきたいのは遺影だ。

終活カウンセラーの石崎公子さんは、こう語る。
「遺影というのは遺族の心の中に生き続けるもの。私の義母は、義父が亡くなっても、"この遺影のおかげで私は寂しくない"と、今でも話しています。その写真は、皆が集まったときに、義父が楽しそうにしている写真。遺影というのは祭壇に飾られるわけですから、故人を偲べるものでないと、いいお別れができません」

もし用意していなかったら、どうなってしまうのか。
「何かの折の集合写真を引き伸ばして背景を加工して使われたり、最悪の場合、死顔を遺影に使ったりしなくてはならないケースも出てきます」(前同)

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